2020 Fiscal Year Research-status Report
屋外暑熱環境下における最適な身体冷却法の探索的研究-輻射熱に着目して-
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19K20032
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
内藤 貴司 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ研究部, 契約研究員 (20806278)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 輻射熱 / 身体冷却 / 持久的運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
暑熱環境下での持久的運動能力の低下は、身体冷却によって抑制することができる。近年注目されているアイススラリー摂取による身体冷却法は深部体温の低下に有効であることが数多く示されているが、ほとんどの研究はラボ研究である。屋外では日光による輻射熱が体温動態に影響を及ぼすことが予想され、アイススラリー摂取に加えて別の身体冷却法を組み合わせる必要がある。2020年は日光下の暑熱運動時における運動前の身体冷却が体温動態と持久的運動能力に及ぼす影響を検討した。深部および皮膚の複合的冷却が体温動態、特に皮膚温の上昇を抑制し、持久的運動能力の低下を抑制すると仮説を立てた。 7名の男性被験者は、運動開始30分前から5分ごとに6回の①体重1 kg当たり1.25 gの常温の飲料摂取 (CON)、②アイススラリーの摂取 (ICE) もしくは③アイススラリーの摂取に加えて送風冷却 (IAF) のいずれかを実施した。その後、日光下 (快晴:輻射熱約1000 W/m2)で自転車エルゴメーターを用いて主観的運動強度 (Rating of perceived exertion: RPE, Borg scale) 15で45分間の自転車運動を行った。体温動態は直腸温、上腕温、胸部温、大腿温および下腿温を測定した。持久的運動能力は回転数、負荷、平均パワー出力で評価した。全ての実験内容は国立スポーツ科学センターの倫理審査委員会で認められ、被験者には十分説明を実施し、同意のもと行った。 現在統計解析中であるが、運動前の直腸温はICEおよびIAF条件がCON条件よりも低い傾向が見られた。一方で、平均皮膚温は3条件で同様である可能性が伺えた。運動中の直腸温はICE条件がCONおよびIAF条件に比べ、低い傾向が見られた。平均パワー出力はICE条件がCONおよびIAF条件に比べ、高い傾向が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年は、研究計画②の実験を行った。研究計画では取得したデータを解析し、文章化する予定であったが遅れが生じている。理由として、実験終了後に本研究課題よりも他のもののエフォートが増加したことが起因している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は今回得られた知見をデータ解析、および文章化を行う。その後に研究計画③の実験を実施する予定である。申請者は所属期間変更により、実験体制から整備を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度は国際学会を含め、多くの学会に参加する予定で旅費を計上していたが、新型コロナウイルスの影響で全て中止となり、旅費が余った一方で、次年度購入予定のものを先に支出したため。
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