2021 Fiscal Year Research-status Report
スポーツ指導者による運動部員に対する非人間化が体罰への容認的態度に与える影響
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19K20039
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺口 司 大阪大学, 人間科学研究科, 招へい研究員 (30779567)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 体罰 / 攻撃行動 / SNS |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では体罰の容認的態度に結びつく被害者の要因の検証のため、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)上での投稿の解析を行った。これまでの検討では運動部員に対する非人間化が体罰の容認的態度に結びつくかについて、潜在的態度を測定してきた。しかし、潜在的非人間化の存在が指摘されつつも、一方で体罰への容認的態度についても社会的望ましさの影響はみられるため、その関連を検討することは困難である。そこで本研究では、一般市民の自然言語を観察するため、SNSである「Twitter」において2020年2月27日から2021年2月11日まで「体罰」という単語を含むツイート約72000件を対象にテキストマイニングを行った。特徴的な語として約16000件のツイートにおいて被害者である「子供」や「生徒」、「部員」についての言及がある。これらの単語との結びつきを検討するため共起ネットワークを算出したところ、「生徒」には「指導」などの単語の結びつきが見られ、「子ども」には「虐待」や「相談」など児童虐待に関する言及が多いことが示唆された。また、非人間的語が使用されているかを検証するため「動物園」「サル」などの単語を用いたコーディングを行ったものの、これらについて言及がなされているのは1%にも満たないものであった。このことから非人間化の影響があった場合でも、社会的望ましさは強く表れると考えられる。潜在的非人間化の計測は急務であるといえるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度では元々の計画においては実験室実験を行うことで運動部員に対する潜在的非人間化の計測方法を確立する予定であった。しかし、コロナウイルスの蔓延により対面実験が引き続き中止となったため、検証が難しくなっている。特に、前年度・本年度の研究結果から非人間化IATの問題がWeb上という実験環境によるものなのか、それとも非人間化IATそのものにあるのかを検討する必要がある現段階において、対面実験が出来ない状況は研究の進展において大きな阻害要因となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
先述の通り、前年度の研究結果から非人間化IATの問題がWeb上という実験環境によるものなのか、それとも非人間化IATそのものにあるのかを検討する必要がある。加えて、実際の運動部員・指導者を対象とし、部活動経験・指導経験が与える影響について検討することで、より精緻に非人間化の影響の有無について検討が可能と考えられる。しかし、現時点においてはコロナウイルスの影響により実験室実験が難しい状況となっている。そこで、今後はより探索的に複数の要因を踏まえたWeb上での実験を中心とした検討を行う。具体的には被害者である運動部員に対する印象の自由記述調査やインタビュー調査を予定している。 ただし、出来る限り実験室実験に近い環境での実験を行う必要もあるため、Zoom等の通信ツールを利用し直接やり取りをしながら非人間化IATの追試実験を行うことも考えられる。年度内にコロナウイルスの影響が納まった場合は対面の実験室実験を行い、対面状況においても潜在的態度の影響が認められない場合には単語の選定のやり直し、もしくはSingle Target IATと呼ばれる対で提示しない方法も検討していく必要があるだろう。
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Causes of Carryover |
本年度はコロナウイルスの影響および研究者の都合により予定していた対面実験、および学会参加が困難となったため、次年度使用額が発生している。次年度については計画を変更し、対面実験で行う内容をWeb上での検討に切り替え実施することで使用する。
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Research Products
(1 results)