2019 Fiscal Year Research-status Report
女性アスリートの加速疾走能力向上のためのトレーニング課題診断システムの開発
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19K20041
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
永原 隆 鹿屋体育大学, スポーツ・武道実践科学系, 助教 (80755372)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スプリント / コーチング / 機械学習 / 技術診断 / 筋力評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,女性アスリートの加速疾走パフォーマンス決定因子を疾走技術,体力の両面から明らかにし,それらに指導者の視点から得られた改善点の情報を加え,機械学習を行うことで加速疾走能力向上のために優先すべきトレーニング課題の診断システムを開発することを目的としている. 令和1年度は,女性アスリートの加速疾走パフォーマンスと関連する技術的要素,体力的要素について明らかにするため,これまでの男性アスリートの研究から明らかになっている加速疾走パフォーマンスの優劣を評価できる項目について,女性アスリートを対象としてデータを収集し,加速疾走パフォーマンスとの関係について検討した.具体的には,15名の女性アスリートを対象に,モーションキャプチャシステムとフォースプレートシステムを用いた加速疾走の動作と力発揮に関するデータ(疾走中におけるピッチやストライド,地面反力,下肢関節の角速度,関節が発揮した正味のトルクなど)を収集するとともに,垂直跳や下肢関節屈曲パワー計測システムを用いて体力面を評価した.収集したデータの一部を用い,女性アスリートの加速疾走パフォーマンス決定因子について,地面反力の観点から検討した結果,男性アスリートと異なる部分があり,スタート直後から加速局面の中盤までは,接地時間の減少を抑えたステップ長の増加が重要となること,最大速度局面において大きな鉛直力の発揮がパフォーマンスと関係しない可能性が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和1年度は,15名の女性アスリートを対象に,疾走技術や体力に関するデータを収集し,地面反力の観点から加速疾走パフォーマンスの決定因子について明らかにできた.しかし,令和1年度は50-60名の女性アスリートを対象にデータを収集する予定であったが,新型コロナウイルスの影響により,3月に予定していた多くの実験を行うことができなかった.このことにより,当初予定していた人数のデータを収集できなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は,新型コロナウイルスの影響が排除され次第,データの収集を再開し,100名程度の女性アスリートを対象にモーションキャプチャシステムとフォースプレートシステムを用いた加速疾走の動作と力発揮に関するデータを収集するとともに,垂直跳や下肢関節屈曲パワー計測システムを用いた体力面の評価を進める.そして,それらのデータを用いて,女性アスリートの加速疾走パフォーマンスと関連する技術的要素,体力的要素について多面的に検討し,加速疾走パフォーマンス向上に寄与する要素を抽出する.また,測定した被験者の映像を熟練した指導者に見せ,その選手の加速疾走能力を向上させる際に指摘するポイントを優先順位とともに挙げてもらい,それらの蓄積を進める. 令和2年度の後半からは,加速疾走能力の向上を目指したトレーニングを行う際に,どのような体力要素,疾走技術を高める必要があるのか,測定した定量的な値から診断し,トレーニング課題と優先順位を提示できるシステムの開発を開始する. 令和3年度は,女性アスリートの加速疾走に関するデータ収集を継続するとともに,パフォーマンスの診断,トレーニング課題の提示システムの開発を進め,実際の女性アスリートを対象に開発したシステムを運用しながら問題点の解決を図り,実践的に有用なシステムを構築する.また,研究成果を学術論文として国際誌に発表する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大により,実験を行うことが困難になり,実験参加者に対する旅費や謝金の支払いがなくなった.令和1年度に実施できなかった実験は,令和2年度に追加して行い,旅費と謝金を支出予定である.
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