2019 Fiscal Year Research-status Report
疲労骨折発症メカニズムの検証-長距離選手におけるトレーニングの質と量に着目して-
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19K20048
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
藤田 真平 桜美林大学, 健康福祉学群, 助教 (30814529)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 疲労骨折 / トレーニングの量 / トレーニングの質 / 骨代謝マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
陸上競技長距離走の練習には、比較的遅い走速度で長い距離を走るような小さな負荷でトレーニング量が多い練習をする時もあれば、試合に向けて比較的速い走速度で短い距離を走るような大きな負荷でトレーニング量の少ない時もある。長距離選手は、疲労骨折の発症率が最も高いにもかかわらず、長距離走のどのような練習が骨に対して負の影響を与えているのかは明らかにされていない。そこで、負荷・トレーニング量ともに少ないオフ期、小さな負荷でトレーニング量が多い走り込み期、大きな負荷でトレーニング量の少ないレース期の3期で骨代謝マーカーの比較を行った。 対象は大学男子長距離選手9名とし、ケガなどによる練習継続ができなかった4名を除外した5名を分析の対象とした。各期は1週間とし、最終日に骨代謝マーカー、クレアチンキナーゼ(CK)の測定を行った。トレーニング量は、GPS内臓のスマートウォッチにて記録した。 その結果、CKはオフ期297.4±68.2U/L、走り込み期776.6±242.7U/L、レース期453.8±134.9U/Lであり、オフ期と比べ走り込み期で有意に高い値を示した(p<0.05)。また、骨形成マーカーであるBAPを骨吸収マーカーであるTRACP-5bで除した値を比較した結果、オフ期(0.025±0.006)よりレース期(0.032±0.007)で有意に高い値を示した。 走り込み期は筋損傷の度合いが高かったが、骨の状態に変化がみられなかった。一方、レース期では、オフ期よりも骨形成優位の骨代謝動態を示していた。これは、トレーニング量が減少したが、レースによる負荷が骨に影響したと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和1年度に計画していた、オフ期、レース期、走り込み期における骨代謝動態の比較について計画通り実験を進めることができた。さらに、そこから得られた結果は当初の仮説とは少し異なっていたが、新たな発見を確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和1年度に測定したスマートウォッチにて測定したトレーニング量・走速度の分析ができていないため引き続き分析を進めていく。 また、骨吸収マーカーであるTRACP-5bと尿中NTXは異なる変化がみられるため、尿中NTXについても測定し、分析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画を提出したときと、現在所属している大学が異なるため、被験者の確保が十分にできなかった。その結果、予定よりも被験者数が少なく、謝金等の費用が少なかったため次年度使用額が生じた。
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