2021 Fiscal Year Research-status Report
疲労骨折発症メカニズムの検証-長距離選手におけるトレーニングの質と量に着目して-
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19K20048
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
藤田 真平 桜美林大学, 健康福祉学群, 助教 (30814529)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 疲労骨折 / トレーニング量 / トレーニングの質 / 骨代謝マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、トレーニング負荷・トレーニング量ともに少ないオフ期、小さな負荷でトレーニング量が多い走り込み期、大きな負荷でトレーニング量の少ないレース期の3期で骨代謝マーカーの比較をこれまでに行ってきた。 対象は大学陸上長距離選手6名とし、オフ期、走り込み期、レース期の3期の比較を行った。筋損傷(クレアチンキナーゼ)は、オフ期と比べ走り込み期で高い値を示したことから、走り込み期では筋へのダメージが大きかったと考えられる(p<0.05)。骨代謝マーカーのTotalP1NP/TRACP-5b(骨形成/骨吸収マーカー)においてはオフ期に比べてレース期において高値を示し(p<0.05)、レース期の方が骨形成優位の骨代謝動態を示した。 我々はこれまでに骨吸収マーカーである尿中NTXが疲労骨折時に高値になることを示してきた。そこで、オフ期、レース期、走り込み期後の7日間について尿中NTXの測定を行い、骨吸収動態の変化についても測定を行った。尿中NTXの測定は日間変動が大きいとされているため、オフ期の7日間連続で測定したデータの平均値(47.6±8.0nmolBCE/mmolCRE)との比較を行った。その結果、レース期後には尿中NTXの変化はみられなかった。一方で、走り込み期後の尿中NTXの値は、オフ期の平均値と比較して1日後(39.7±9.5 nmolBCE/mmolCRE)、5日後(37.2±7.9 nmolBCE/mmolCRE)で低値を示した(p<0.05)。また、走り込み期後の7日間の平均値(40.2±9.5 nmolBCE/mmolCRE)で、オフ期の平均値よりも低値を示した(p<0.05)。これらの結果より、筋の損傷が大きい走り込み期には骨吸収が抑制されている可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて一部の実験ができておらず、若干の遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染拡大の状況をみながら、感染対策を十分に取って実験をしていく予定である。 当初の仮説と実験結果が異なる点について検討するため、尿中NTXの測定を中心に対象者に対し、スマートウォッチを用いて練習量をモニタリングしながら、骨の状態を定期的に把握していき、トレーニング量とトレーニングの質の影響を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、予定していた実験が行えなかったことや、発表予定の学会が開催されなかったため、当初の計画から遅れが生じ、次年度使用額が生じた。 現在遅れいている測定の測定費および論文の投稿料に使用する計画である。
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