2019 Fiscal Year Research-status Report
情動知能と運動に対する自己効力感の差による運動時の脳波の違いに関する研究
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19K20049
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
西垣 景太 東海大学, 健康学部, 准教授 (20595889)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 運動経験 / 情動知能 / 自己効力感 / 脳波 / 生理的指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,申請者がこれまでに質問紙を用いて明らかにしてきた運動経験と情動知能や自己効力感の得点との関連性について,具体的にどのような運動経験が情動などの変化に関連しているのかを,脳波を用いて検証するための基礎的な研究となる.情動知能や自己効力感のの得点の高低差により、運動の成功体験や失敗体験をどのようにとらえるのかについて、質問紙と脳波と唾液のアミラーゼから緊張状態かリラックス状態の評価を試みるものである。 これまでの研究の成果として、小学生の短期運動教室での情動知能の向上、運動系の習い事の楽しさや熱心さと情動知能の得点の関連性、小学生から大学生までの運動部活動経験者が高い情動知能得点を示すことなどを明らかにしてきた。運動経験と情動知能の関連性は明らかになっており,運動経験を構築することが情動知能を高めていくことが推測される.しかし,具体的にどのような経験が情動知能や運動に対する自信の向上につながるのかは,明らかにされていない.そこで,生理学的な指標も用いた研究が求められると考えた.情動とは,短時間に生じる強い感情(怒り・悲しみ・喜びなど)を指し,脳の緊張-リラックスの状態とも関連する. 脳波を測定する環境の確認したこと一部示す。①実験の場として、脳波計の乱れが生じた際には実験の場として不適切と判断される。今回実験の場として脳波計の測定を実施した場所として、セミナー室での脳波はアーチファクトの影響がなく、実験可能な場であることが確認された。②脳波の2.5Hzはアーチファクトと判断され、まばたきや被験者の多少の動きでは3Hz周辺のデルタ波が高く出やすい。これは、熟睡時に示しやすい数値であり、実験中であればアーチファクトであることが判断できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査を行うための準備として、学内の倫理申請を行い認可を得た。また、実際に調査を行うにあたってのプレ実験から環境による脳波への影響などを確認し、実施可能である準備を整うことができた。さらに、対象者の公募方法ならびにプロトコルの確認を行った。また、消耗品の購入も行い、準備は整ったといえる。 調査を行う条件として、性差による影響として、環境への配慮が必要とされている。特に室温の感じ方が女性の方が寒く感じやすいとの指摘もされている。本実験スペースは室温の調整が可能なスペースになっているため、実験時の室温を一定に保ち、研究を進めていくことを確認した。 脳波の分析方法として、アルファ波やベータ波の含有率を検討していくのが一般的であり、本研究においても同様の分析を実施していく。また、脳波のキャリブレーションについては、1分間で可能ではあるものの、純粋なデータの収集が出来なくなってしまうため、本研究においてもキャリブレーションせずにデータを収集していくことを確認した。 本研究の進捗状況をやや遅れているとした大きな理由としては、今年度の最後に実際に実験を開始データの取得を進める予定であった、しかし、新型コロナウィルスの影響により、対象者の公募や学内での実施について、中断せざるおえなかったことが大きな要因である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で実施予定の実験条件として2つ設定をしている。1つ目に,運動経験時の脳波の測定を行い,情動知能得点の高低と運動への自己効力感の強さによって,個人の成功体験や失敗体験がどのような脳波を示すのか.脳波(アルファ波・ベータ波)に違いが見られるのかを検討する基礎的な解析を行う.2つ目に,他者が周囲で見る中での運動経験の成功体験や失敗体験を行った時,その周囲の雰囲気(成績志向的雰囲気・課題志向的雰囲気)の違いによって,快感情となるのか深い感情となるのかその強さについても検討する. まずは、1つ目の実験を進めていきたい。しかし現在大学内は新型コロナウィルスの影響により、8月末まで学生の入校も禁止しており、実験が行える状況にない。今後の入校禁止解除の状況により、影響が出ることが懸念事項である。 現在できることは、入校禁止解除後に向けて、可能な範囲の準備を進めていくことである。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、実験実施の人件費や学会への参加に伴う支出がなくなったことが、次年度の使用額が生じた理由である。実験が可能になった状態、学会への参加が可能になった状態で、研究を進めていく。
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