2019 Fiscal Year Research-status Report
Does lactate promote mitochondrial biogenesis in hippocampus following a single bout of intense exercise?
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19K20051
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
朴 ジョンヒョク 日本医科大学, 大学院医学研究科, ポストドクター (80835843)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 一過性運動 / 高強度 / ミトコンドリア生合成 / 海馬 / 乳酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに,一過性の高強度運動が海馬ミトコンドリア生合成を高めることを見出したが,その増加機序は未だ解明できていなかった.近年,乳酸が骨格筋のミトコンドリア生合成を促す可能性が示唆されていることから,本研究は一過性の高強度運動で高まる海馬ミトコンドリア生合成にも乳酸が関与するか否かについて検討することを目的とした. 実験では,8週齢の雄ICRマウスを 1)非運動+Saline投与群,2)運動+Saline投与群,3)運動+UK-5099投与群,4)乳酸+Saline投与群,5)乳酸+UK-5099投与群に分けた.Salineおよび脳内の乳酸の放出や取り込みに関与するモノカルボン酸トランスポーター(MCT)阻害剤(UK-5099)を運動および乳酸投与30分前に腹腔内投与し,運動は,トレッドミル速度20m/分から速度を5m/分ずつ上げ,マウスが疲労困憊に至るまでの高強度トレッドミル走運動を課した.その後,海馬を採取し,PGC-1α mRNAおよびミトコンドリアDNA(mtDNA)の測定に用いた.その結果,一過性の高強度運動に伴い血中乳酸濃度が上昇し,その後に海馬PGC-1α mRNAおよびmtDNA量の増加が認められた.しかし,これらの増加はUK-5099投与により消失した.また,腹腔内への乳酸投与により高強度運動と同様に血中乳酸濃度が高まり,海馬において上記のミトコンドリア生合成の関連因子が上昇したものの,統計的な有意差は認められなかった.一方,MCT1,2,4のmRNA発現量を調べたところ,運動群では,海馬MCT1,2 mRNA発現量が有意に増加したが,乳酸投与群ではMCT1のみ有意な増加が認められた. 以上の結果から,一過性の高強度走運動による体内乳酸の増加が,海馬のMCT2を介して海馬ミトコンドリア生合成の増加に関与することが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度(1年目)は,一過性の高強度運動による海馬ミトコンドリア生合成を高める候補因子として乳酸に着目して実験を遂行した.その結果,運動由来の体内乳酸の増加が,海馬ミトコンドリア生合成を高めるのに重要な働きを果たしていることが示された.なお,以前の実験結果と一致して本実験においても1回の高強度運動は海馬のミトコンドリア生合成を高めることが明らかとなり,再現性が認められた.また,次年度に予定していた実験計画以外の実験の一部を実施することができているため,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に一過性の高強度運動により増加する血中乳酸が脳内MCT発現を介して,その乳酸が海馬に入り込み,海馬のミトコンドリア生合成を高める可能性が示された.一方で,海馬においてアストロサイトのグリコーゲン由来の乳酸が神経細胞に供給されることも指摘されていることから,これらの現象を詳細に調べるために,運動前にグリコーゲン分解酵素阻害剤(DAB)を脳内投与し,運動後に海馬を採取し,海馬グリコーゲンおよび乳酸濃度の測定を行った上でミトコンドリア生合成の関連遺伝子およびMCTsの発現量の変化を調べる.あわせて,高強度運動由来の血中乳酸が脳内乳酸濃度にどれほどの影響を及ぼすかについて検討する.方法として,脳マイクロダイアリシス法により高強度運動時に脳海馬部位の細胞外液を連続的に回収しHPLCを用いて解析を行う予定である.
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Causes of Carryover |
当初の研究計画通りおおむね順調に進行し,予定していた研究物品の購入を必要最小限にすることが可能であったため,今年度に未使用の助成金は次年度に使用する予定である.
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[Journal Article] Bio-artificial bone formation model with a radial-flow bioreactor for implant therapy―comparison between two cell culture carriers: porous hydroxyapatite and β-tricalcium phosphate beads2019
Author(s)
Nomoto H, Maehashi H, Shirai M, Nakamura M, Masaki T, Mezaki Y, Park J, Aizawa M, Ohkawa K, Yoshida K, Matsuura T
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Journal Title
Human cell
Volume: 32
Pages: 1-11
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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