2020 Fiscal Year Research-status Report
Does lactate promote mitochondrial biogenesis in hippocampus following a single bout of intense exercise?
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19K20051
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
朴 ジョンヒョク 日本医科大学, 大学院医学研究科, ポストドクター (80835843)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 一過性運動 / 高強度 / 海馬 / 乳酸 / ミトコンドリア生合成 / マイクロダイアリシス |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、乳酸が骨格筋のミトコンドリア生合成を促す可能性が示唆されている。本研究は、一過性の高強度運動で高まる乳酸が、運動によりもたらされる海馬ミトコンドリア生合成にも関与するか否かについて検討することを目的とした。昨年度は、一過性の高強度走運動に伴い血中および海馬の乳酸濃度が上昇し、その後に海馬PGC-1α mRNAおよびミトコンドリアDNA(mtDNA)の増加が認められた。しかし、これらの増加は乳酸トランスポーター(MCT)阻害剤UK5099投与により消失する結果を得た。今年度は、血中で高まった乳酸濃度がどの程度、海馬の細胞外乳酸濃度に影響するかをマイクロダイアリシス法により検証した。マイクロダイアリシス実験のために海馬へのガイドカニューレ挿入手術を施し、5日間の回復期間を設けた。その後、ガイドカニューレを透析プローブに差し替え、リンゲル液をマイクロインジェクションポンプに繋ぎ流速1 μL/minで灌流し、10分間隔でサンプルを回収した。回収したサンプルを用いて、海馬の細胞外乳酸濃度を測定した。実験条件としては、1) Vehicle+乳酸投与群、2) UK5099+乳酸投与群に分け、VehicleおよびUK5099投与30分後に腹腔内乳酸投与(2g/kg)を行った。その結果、腹腔内乳酸投与は両群ともに高強度運動時と同様な血中乳酸濃度(10~13 mM)を示し、Vehicle+乳酸投与群において乳酸投与10分後から60分まで、安静時に比べ海馬の細胞外乳酸濃度の有意な増加が認められた。しかし、UK5099投与により海馬の細胞外乳酸濃度の増加が抑制されることが示された。以上より、一過性の高強度運動により増加する血中乳酸がMCTを介して海馬に取り込まれ、その結果、海馬のミトコンドリア生合成の促進に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、外因性の乳酸投与により高まった血中乳酸が、海馬に入り込み、海馬の細胞外乳酸濃度の増加を引き起こすことをマイクロダイアリシス法により検証することができた。しかし、マイクロダイアリシス法を用いた実際の運動時における海馬の細胞外乳酸動態についての検討が遅れているため、進捗状況は「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
高強度運動由来の血中乳酸が海馬内乳酸濃度にどれほどの影響を及ぼすかについて検討する。方法として、上記と同様にマイクロダイアリシス法により高強度運動時に海馬の細胞外液を連続的に回収し、乳酸動態を調べる。あわせて、海馬においてアストロサイトのグリコーゲン由来の乳酸が神経細胞に供給されることが指摘されていることから、本研究課題に加えて、運動前にグリコーゲンリン酸化酵素阻害薬(DAB)の海馬内投与が、運動後の海馬ミトコンドリア生合成に及ぼす影響について検討する予定である。
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Causes of Carryover |
Covid-19による学会の中止で予定していた経費を支出しなかったことに加え、当初予定していた実験計画の中でまだ未遂行の実験を行うために必要な実験消耗品などの購入に次年度使用額を利用する。
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Research Products
(1 results)