2019 Fiscal Year Research-status Report
Exploring essence and effect of coaching based on practitioner's experience
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19K20053
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
青柳 健隆 関東学院大学, 経済学部, 准教授 (80772970)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | コーチング / 人材育成 / 人的資源開発 / 運動部活動 / 指導者養成 / スポーツ教育 / ワークライフバランス / 質的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度、主に取り組んだ研究のひとつはコーチへのインタビュー調査である。12名の資格保有プロコーチに対して1対1の半構造化インタビューを行い、コーチングにおいて何がどのように機能するのかを聴取した。資格保有プロコーチはコーチングを学習した経験、クライアントとしてコーチングを受けた経験、自身がコーチとしてコーチングを実施した経験をそれぞれ有しており、コーチングについての体感的理解を有する可能性の高い対象者であると考えられる。得られたデータは修正版グラウンデッドセオリーアプローチを用いて分析し、パーソナルコーチングが機能するプロセスをモデル化した。研究成果は日本コーチング学会第31回学会大会にて発表した。あわせて、論文化に向けての作業を進めている。 もうひとつ、大きなエフォートをかけて取り組んだのがクライアント体験(参与観察)である。研究者自身がクライアント(コーチングの受け手)としてパーソナルコーチングを受け、コーチングセッションの内容やコーチの関与、クライアントの思考や行動への影響を記録した。約4か月間のセッションを終え、現在は論文執筆を行っている。 また、世界約70か国のコーチが集まった国際コーチ連盟(International Coach Federation)主催の国際会議(ICF Converge 2019)に参加し、世界のコーチングに関する情報収集とネットワーキングを行った。ほかにも、コーチングに関連する書籍やコーチングから波及する他分野の知見に関する書籍を収集して文献研究を進めたり、パーソナルコーチングが機能するプロセスに基づいてコーチングの効果を測定する尺度を検討したり、チーム(個人ではなく集団)に対するコーチング的介入研究をしている研究者のサポートなどを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
【方針を変更した点】当初計画していたクライアントへのインタビュー調査は、所属組織内の倫理審査を通過した段階で実施を保留している。理由は、コーチへのインタビュー調査を進める過程で、コーチはクライアントとしての経験を有していることに気づいたためである(コーチへのインタビュー調査で、クライアントとしての体験についても尋ねた)。 【計画より進展していない点】研究者自身がコーチ役を行う参与観察研究は保留している。当該研究では初年度にコーチングの講習プログラムを受講する予定であったが、コーチへのインタビュー調査およびクライアント体験(参与観察)を優先した。今後当該研究を遂行するためにも、研究者自身のコーチングについての理解を深めることが優先であるという判断からである。 【計画より進展した点】当初計画に加えて、コーチングの効果を測定する尺度の開発、コーチングで用いるツールの探索・作成・評価、コーチング実践の知見の蓄積方法の検討など、本研究の大きな問いである「コーチングとは、つまりどのような営みなのか」および「コーチングにおいて、何がどう作用するのか」の理解につながる研究案を着想した。 以上のように、当初計画よりも進展していない部分と、当初計画を超えて進展または波及した部分があるが、全体としては研究全体の大きな目標に向かって当初計画以上に前進していると認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は当初計画に沿ってクライアント体験(参与観察)、海外大学のコーチングカリキュラム調査、国際会議での情報収集およびネットワーキングを進める(ただし、新型コロナウイルス感染症の影響で海外への渡航が難しい場合は、その他の研究活動にエフォートを振り分ける)。また、新たに着想したコーチングの効果を測定する尺度の開発、コーチングで用いるツールの探索・作成・評価、コーチング実践の知見の蓄積方法の検討を具体的な研究デザインに落とし込み、研究を進展させる。さらに長期的には、開発したコーチング評価尺度を用いた介入研究を構想している。
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Causes of Carryover |
60円とわずかな金額であり、誤差の範囲であると考えている。2年次目に消耗品購入に充てる計画である。
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Remarks |
青柳健隆(2020)えつらん室『「ハッピーな部活」のつくり方』.体育科教育2020年1月号,61.
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Research Products
(7 results)