2019 Fiscal Year Research-status Report
野球のバッティング動作中に負う腹斜筋肉離れの受傷メカニズム解明への基礎的研究
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19K20059
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
堀内 元 関西大学, 人間健康学部, 特任体育講師 (40824652)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | フォロースルー / 脇腹 / 体幹関節 / 逆動力学演算 / 伸張性収縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、フォロースルー局面に着目して、野球のバッティング動作中に負う投手側腹斜筋における肉離れの受傷メカニズムの解明に寄与する基礎的資料の獲得を目的としている。研究初年度である2019年度では、研究目的の達成に必要となる実験データの収集、得られた実験データから運動学的および力学的分析を行うことを計画していた。 大学硬式野球部に所属する男子学生選手30名に最大努力によるティーバッティングおよび素振りを行わせた。バットスイング動作をモーションキャプチャーシステムで記録し、同時に両足に作用する地面反力を2台のフォースプレートでそれぞれ測定した。加えて、体幹の左右回旋方向における可動域を測定した。 現在、ティーバッティング動作中の体幹に関する運動学的および力学的分析が完了している。収集された実験データから、野球のバッティングのフォロースルー局面における体幹関節(体幹部を上下に分割する仮想関節)の角変位量、角速度のピーク値、トルクのピーク値および力学的仕事を算出した。その結果、体幹関節の角変位量および関節トルクによる負の力学的仕事は左右回旋方向が最大であり、関節角速度のピーク値は左右回旋方向にのみ出現していた。さらに、算出された変数とバットとボールがインパクトした直後のバットヘッドスピード、体幹の左右回旋における可動域との間の相関関係についてそれぞれ調査した。その結果、インパクト直後のバットヘッドスピードと左右回旋方向における体幹関節トルクのピーク値との間に有意な相関関係が認められた。また、体幹の左右回旋方向における可動域は、いずれの変数とも有意な相関関係は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた分析対象者数の実験データを収集することができた。また、分析プログラムを予め用意していたことから、収集した実験データに対する分析についても正確かつ円滑に遂行できた。以上のことから、おおむね順調に進展していると判断した。 しかしながら、当初に計画していたバットスイング動作中における体幹筋群の筋電図の記録は、機材トラブルのため実施できなかった。そのため、バットスイング動作中における体幹筋群の筋活動の比較は不可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、フォロースルー局面における体幹に関する変数とインパクト直後のバットヘッドスピード、体幹の左右回旋方向における可動域との関係について更に考察を深めることで、野球のバッティング動作中に負う腹斜筋肉離れの受傷メカニズム解明に寄与する基礎的資料の獲得を目指す。加えて、素振りのフォロースルー局面における体幹関節の角変位量、角速度のピーク値、トルクのピーク値および力学的仕事をそれぞれ算出する。そして、ティーバッティングのフォロースルー局面におけるこれらの変数と比較することで、獲得される研究資料の価値を高めていく。
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Causes of Carryover |
交付開始前から研究の打合せを進めていたため、予定していた打合せに必要としていた移動費および宿泊費が不要となった。加えて、消耗品として購入予定であった物品の一部を中京大学大学院体育学研究科から借用できたため、一部の消耗品費が不要となった。
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