2019 Fiscal Year Research-status Report
高強度走行中のランニングエコノミーを効果的に改善するトレーニング方法の検討
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19K20063
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
丹治 史弥 東海大学, スポーツ医科学研究所, 特任助教 (00804957)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 低酸素トレーニング / プライオメトリックトレーニング / アスリート / 走パフォーマンス / 最大酸素摂取量 / 表面筋電図 / 平均周波数 |
Outline of Annual Research Achievements |
中長距離走パフォーマンスは最大酸素摂取量とランニングエコノミー(RE)によって大部分が説明でき、競技レベルに優れた中長距離ランナーにおいてはREの優劣がパフォーマンスの成否を決定する。REは一般に低強度において評価されるが、近年、高強度での評価方法が確立され、さらに中長距離走パフォーマンスとより強く関連することが示されている。したがって、高強度走行中のREの改善によって中長距離走パフォーマンスが向上すると予想されるが、その効果的なトレーニング方法については検討されていない。 低強度走行中のREは低酸素トレーニングやプライオメトリックトレーニングによって改善できると報告されている。しかし、高強度走行においては運動強度の違いによって効果的なトレーニング方法は異なる可能性がある。そこで本研究は、①低酸素トレーニングおよび②水平方向におけるジャンプトレーニングによる効果的な高強度REを改善するトレーニング方法を明らかにすることを目的とする。 令和元年度は、5日間の低酸素トレーニングが高強度REおよび走パフォーマンスへ及ぼす効果について明らかにした。これまで低強度のREを改善した低酸素トレーニングの方法は比較的低強度の運動で構成されていたため、本研究では高強度の運動を繰り返し実施させた。その結果、走パフォーマンスの向上が認められたが、高強度REの改善は認められなかった。その一方で最大酸素摂取量の改善が認められた。本研究の結果から、トレーニングプログラムの違いによって改善される生理学的能力が異なることが明らかになったが、高強度REを改善するトレーニング方法は明らかにできなかった。これまで、先行研究において最大酸素摂取量を改善するためには低酸素トレーニングを6週間実施しており、本研究において5日間での改善を認めたことは非常に効果的なトレーニング方法であると示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題1の実施を当初の計画通り完了できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、研究課題2である、水平方向におけるジャンプトレーニングによる効果的な高強度REを改善するトレーニング方法を明らかにすることを目的とする。令和元年度の12月から3月の冬期トレーニング期間に予備実験をしたところ、気温が低いことや、プライオメトリクスおよびその他の持久系トレーニングの量が多かったためか、下肢がオーバーユースとなり、トレーニングから離脱する被験者が多くなった。そこで当初の予定よりも比較的日々のトレーニングに取り入れやすい量と種類のプライオメトリクスに修正する。 新型コロナウイルスの影響で当初予定していた期間にトレーニング実験を実施できなくなった。本研究ではアスリートを対象としているため、アスリートの最も都合の良い期間に実施する必要がある。日本陸上競技連盟は令和2年度の6月末まで競技会の開催を見送っており、それ以降の競技会の開催も未定である。それらが確定し、当初予定していた被験者の年次計画が決定してから、トレーニング実験の実施時期を確定していく必要があると考えている。
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Causes of Carryover |
被験者からの謝金辞退を受け、人件費・謝金の支出がなくなったため、次年度使用額が生じた。 研究代表者は令和元年度に所属研究機関を移動した。令和元年度に実施した研究は、当初の予定通り、前所属機関において実施した。しかし、令和2年度に実施する予定の研究は、現在の研究機関において行う。そのため、次年度に繰り越した資金は、研究を滞りなく実施できるよう、現在の研究機関の機材および消耗品の購入に充てる予定である。
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