2019 Fiscal Year Research-status Report
対戦型スポーツにおける一流選手の対応能力に関する研究
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19K20064
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
城所 収二 福岡工業大学, 付置研究所, 研究員 (20756118)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 卓球 / 予測能力 / バイオメカニクス / 認知機能 / 野球 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、卓球や野球といった対戦形式のスポーツを行う一流競技者の、相手選手のスイング動作や投球動作についての視覚情報からボールの到達位置を予測する実践的な能力が、中程度の選手よりも優れているのかを明らかにすることであった。 初年度である2019年度は、卓球選手を対象とし、相手選手のスイング動作と向かってくるボールの視覚情報量が、インパクトの正確性にどれだけ影響するのかを競技レベル間で比較した。対象者は、JOCエリートアカデミー生3名と中国人コーチ1名からなる上級者群と、大学卓球部員6名からなる中級者群の2群で構成された。対象者は、液晶シャッターゴーグルを装着して測定を実施した。実験のタスクは、ラリー中の卓球選手の予測能力を検証できるよう設定した。相手選手のサービス(1打目)からラリーを開始して、2打目を対象者がレシーブし、3打目を相手選手がフォアハンドドライブで強打した。相手選手はこの3打目を、対象者のフォア側・ミドル側(体に向かってくる方向)・バック側の3方向へ打ち分けた。3打目に対するレシーブ(4打目)が対象局面であり、3打目のインパクト前後で対象者の視界が遮断された。対象者は、相手選手の打ったボールが途中まで見える比較的難度の低い条件から、相手選手のスイングの途中で視界が遮られる難度の高い条件でレシーブを行い、エリート選手ほど少ない情報量でもボールの到達位置を正確に予測できるのかを調査した。ラリー中の対象者と相手選手の身体運動、ならびに飛翔するボールの運動を、モーションキャプチャシステムと高速度カメラにより記録した。対象者の予測の正確性を評価するために、各試行のインパクト誤差(ラケット中心とボールとの間の距離)を算出した。また、対象者が相手選手のスイング動作を観察し、どの時点でどこが起点となってレシーブを実行しているのかを調査するために、双方の身体運動を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は、卓球選手を対象にラリー中の予測能力が競技レベル間で異なるのかを調査した。実験は終了したが、その後のデータ分析が不十分な状態にある。分析を終えた状態で次年度の研究を実施する予定であったが、同時進行が必要になったため。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、2019年度に行った実験データの解析作業を進め、エリート卓球選手の技能の一端を明らかにする。それと並行して、野球選手のタイミング制御能力を明らかにするための実験を実施する。
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Causes of Carryover |
測定で使用した視界遮蔽装置については、所属機関の所有するものを使用できたため、支出が抑えられた。次年度については、当初の支出計画ならびに、繰り越された分を成果物の発表のために使用していく。
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