2022 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋電流刺激を用いた単一筋ダイナミクスの変化に対する運動適応の解明
Project/Area Number |
19K20067
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
萩生 翔大 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (90793810)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 運動学習 / 筋電気刺激 / 筋電図 |
Outline of Annual Research Achievements |
最大努力下での垂直跳び動作が、前脛骨筋への電気刺激による足関節背屈トルクの印加に対して、どのように修正されるのかを明らかにした。実験参加者は、床反力計の上で最大高を目指してスクワットジャンプを繰り返し実施した。試行の途中で両脚の前脛骨筋に筋電気刺激を与え、足関節背屈トルクを印加した。筋電気刺激は、二相性のパルス波(20Hz)とし、刺激の強度は被験者ごとに同一のトルクを印加できるよう事前に決定した。垂直跳び動作では、足関節の底屈トルクが動作を作り出す主要なトルクとなる。そのため、筋電気刺激による足関節背屈トルク印加直後は、足関節で発揮された底屈トルクの影響が打ち消され跳躍高が大きく減少した。しかし、トルク印加試行中、跳躍を繰り返すと跳躍高が徐々に上昇した。興味深いことに、トルク印加試行後、再び電気刺激を与えずに跳躍動作を実施したところ、全実験参加者においてトルク印加前よりも跳躍高が大きく上昇しており、後効果が観察された。また、トルク印加試行前後での下肢の筋活動を比較したところ、足関節や股関節周りの筋の活動タイミングや振幅が大きく変化していることが明らかとなった。さらに跳躍高はトルク印加前の高さに戻ることなく維持されたことから、トルク印加に対して修正された運動は、新たな技能として獲得された可能性が示唆された。
本研究により、骨格筋への電気刺激が、骨格筋自体もしくは身体運動のダイナミクスを変化させる有効な方法であることが示された。また、脳はこうしたダイナミクスの変化に対して複数の筋の活動を修正し、運動を適応させていることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Muscle synergies of multidirectional postural control in astronauts on Earth after a long-term stay in space.2022
Author(s)
Shota Hagio, Akihiko Ishihara, Masahiro Terada, Hiroko Tanabe, Benio Kibushi, Akira Higashibata, Shin Yamada, Satoshi Furukawa, Chiaki Mukai, Noriaki Ishioka, Motoki Kouzaki
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Journal Title
Journal of Neurophysiology
Volume: 127
Pages: 1230-1239
DOI
Peer Reviewed
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