2020 Fiscal Year Research-status Report
「力を抜く」調節に関わる動作・神経メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K20072
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
大高 千明 奈良女子大学, 生活環境科学系, 助教 (00783929)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 力の抜き / 筋出力調節 / グレーディング / 運動制御 / バイオメカニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、グレーディング能力の一要素である「力を抜く」調節に関して、「力を入れる」調節との比較検討から、動作・神経メカニズムを解明することである。バイオメカニクス的手法および神経科学的手法を総合的に用いることで、包括的な知見が得られることから、2020年度は「力を抜く」調節におけるスタートレベル、ターゲットレベル、筋出力変化量の大きさ、それぞれの要素がどのように影響するのかについて焦点をあてて検討するために、ターゲットレベルが同じ場合におけるグレーディング課題を用いた予備調査を実施した。 具体的には、筋出力調節特性について、ターゲットレベルが同じ場合における課題設定として、増加課題は、スタートレベル10%MVCからターゲットレベル30%MVCへ増加させる、減少課題はスタートレベル50%MVCからターゲットレベル30%MVCへ減少させるグレーディング課題について、等尺性脚伸展動作による力発揮を運動課題として設定した。測定および分析項目として、以下の2指標の動態を検討した。1)発揮張力から、パフォーマンス特性(正確性:ターゲットレベルとの誤差、素早さ:反応時間、調節時間)、2)筋活動特性(外側広筋、大腿二頭筋における筋放電量、筋放電タイミング)。この実験設定を用いて、大学生女子を対象とした予備調査を行った。 発揮張力について、増加時と減少時の比較に着目すると、減少時の正確性は増加時よりも低下したが、素早さについては両者に違いはみられない傾向を示したことから、同じスタートレベルからの筋出力調節特性として、正確性に影響を及ぼすことが推察される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、バイオメカニクス的手法および神経科学的手法を総合的に用いること、またスタートレベル、ターゲットレベル、変化量の大きさ、それぞれの要素がどのように影響するのかについて検討することである。2年目である2020年度は、ターゲットレベルが同じ場合におけるグレーディング課題を用いた筋出力調節特性を検討した。よって、本年度は概ね計画通りに進めることができたといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、スタートレベルの大きさ、あるいは筋出力変化量の大きさ、いずれの要素がどのようにパフォーマンスの正確性や素早さに影響するのかを検討するため、特に「力を抜く」調節に焦点をあて、グレーディング課題を用いて実験を行い、筋出力調節特性について評価する。具体的には、スタートレベル70%MVCからターゲットレベル10%、30%、50%MVCへ、正確かつ素早く調節することを運動課題として設定し、実験および分析を進めていく予定である。
|
Causes of Carryover |
前年度未使用額を含めた交付決定額に応じて購入する物品を再検討した結果、申請時よりも物品を減額したために次年度使用額が生じた。この残額については翌年度分と合わせて実験および分析に必要な物品に使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)