2021 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of pain relief effect and physiological activity using selective low frequency current stimulation in VR environment
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19K20085
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
笠井 亮佑 東京工科大学, 医療保健学部, 講師 (50794301)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Virtual Reality / Pain assessment / Electroencephalogram / Plethysmography / Autonomic nerves |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、気分状態の違いによるVRを利用した急性痛緩和と生理学的神経活動への影響を検証するため、2020年度に分析した結果を基に、心理的気分状態で群分けした被験者の身体的影響に伴う痛みに関連する知覚感度の評価と、心理的影響に伴う生理学的神経活動の評価を進め、本研究課題の進展が得られた。人間は日常生活において気分状態は常に変化しており、それに伴って行動や思考等が変化する。気分がポジティブ傾向にある場合、注意焦点の範囲が拡大することや、新たな事象の探索や創造的な問題解決といった制約に縛られない行動を行う。また、ネガティブ傾向の場合、注意焦点の範囲が縮小することや、限られた事柄に思考を焦点化し、選択肢が限られた行動を行い、気分状態の変化に伴い、自律神経や中枢神経などの生理学的神経活動に影響する。また、痛みの緩和作用の一つとして、自律神経や中枢神経が影響していることがわかっている。そのため、気分状態は痛みを感じる際の情動ストレスの程度に影響を及ぼし、自律神経や中枢神経などの生理学的神経活動に伴う疼痛閾値の上昇効果に影響すると考えられる。そこで、2021年度では、心理的気分評価として, 実験開始前に気分プロフィール評価を用いて, 被験者が置かれた条件によって変化する一時的な気分や感情を、各項目に分類し、ポジティブ群, ネガティブ群に群分けして比較した。その結果、気分状態がネガティブ傾向の場合、主観的及び電流刺激による客観的評価共に痛み緩和を示し、気分状態がポジティブ傾向の場合、主観的評価のみ痛み緩和を示した。したがって、VR映像視聴による痛みに対する注意散漫の影響としては、主観的に痛み緩和を示すことが考えられ、VR映像視聴による情動ストレス負荷の影響としては、電流刺激による客観的評価として痛み緩和を示す可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の研究進捗は、予定していた計画通りに進展している。 研究実績の概要に示した本研究課題の進展及び研究成果の一部を国内外学会の研究発表で公表した。さらに、これらについて原著論文として投稿し、掲載に至った。引き続き、研究成果について論文投稿を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の方向性としては,大きな変更点はない。 2022年度では、2019、2020、2021年度に分析した結果を基に、これまで検証した人の情動に焦点を合わせた快適感等の映像コンテンツ以外の手法を検討し、実験を進める。具体的には、暑熱映像・寒冷映像・安静映像のような印象に焦点を合わせた映像コンテンツを用いて検討を進める。様々な印象別の映像コンテンツを用いたVR急性痛緩和を客観的に評価することで、痛み緩和に向けたVR映像コンテンツを開発する段階において、より適正なVR映像コンテンツの選定及び評価が可能となり、VRを用いた痛み緩和システムの発展に繋がると期待される。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス蔓延情勢により、予定していた国際学会がオンライン開催となったため、予定していた旅費の精算がなくなった。2022年度では、国際学会の現地開催が予測されるため、本研究の研究成果を国際学会で報告することを予定している。 2022年度の助成金使用計画として、国際学会発表に関する参加費及び旅費、VRデバイスの新規更新とそれに伴う高性能PCの更新費を予定している。国際学会の対象は、AAMI等の医療機器関連学会を検討している。VRデバイスは、HTCVivePro eyeを検討中である。
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Research Products
(4 results)