2023 Fiscal Year Research-status Report
運動有能感によるダンス授業の「恥ずかしさ」軽減の試み
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19K20091
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Research Institution | Biwako Seikei Sport College |
Principal Investigator |
大西 祐司 びわこ成蹊スポーツ大学, スポーツ学部, 准教授 (00756760)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ダンス / 恥ずかしさ / 運動有能感 / 体育授業 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、研究課題3の恥ずかしさを軽減する指導方略を考案し、その有効性を検証すべく実証授業を行なった。 研究対象は京都市の中学校1校6クラスの187名であった。研究者が全10時間の単元計画を授業者に提案し、単元前及び進行過程で協議・調整しながら進められた。また恥ずかしさを軽減する指導法略を、運動有能感を高める指導法略をもとに考案し単元計画に組み込んだ。 調査方法は、岡沢ら(1996, 2001)が作成した「運動有能感尺度」と、本研究者が開発した「ダンス授業恥ずかしさ尺度」を用いてアンケート調査を行なった。加えて、ダンス授業の成果を検証のため「創造的自己効力感尺度」(Beghetto , 2006)も実施した。アンケート調査の時期は、単元前中後の3回とした。さらに、授業の様子を記録するため本研究者が授業参与観察し、フィールドノーツを作成した。また授業後にも授業内容の確認を行うため、ビデオカメラを用いて映像を記録した。 単元前中後で「恥ずかしさの下位情緒」9項目(3因子)、「運動有能感」12項目(3因子)、「創造性」3項目(1因子)について、単元前中後で差があるか統計処理(一要因分散分析)を行った。その結果、「恥ずかしさの下位情緒」の3因子全てにおいて、単元前に比べ単元中、単元後が有意に低い値を示した。このことは、生徒が授業前に「想定」していた恥ずかしさよりも授業実施の恥ずかしさが低く、単元進行に伴い低下する傾向を確認できたことを意味している。一方、「運動有能感」と「創造性」では、単元進行に伴う向上傾向はみられたが、有意な差は見られなかった。 今後は、上記の結果の考察、恥ずかしさの発生因の分析、並びに恥ずかしさの質問項目と運動有能感の関連性を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の3年の研究計画だったところを、新型コロナウイルス蔓延や家庭状況の変化により5年に変更している。研究課題は研究計画に基づき進められているが、年限の延長を行なったことから、総合的にみて「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の実証授業で得られたデータの追加分析を行い、その結果を学会発表及び投稿論文としてまとめる予定である。またその結果が当初の仮説と異なる場合には、追加の実証授業も検討する。
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Causes of Carryover |
2023年度の実証授業の結果を次年度に学会発表及び投稿論文として発表予定である。また分析結果によっては、追加の実証授業を実施する。そのため、助成金を次年度に繰り越すこととする。
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