2020 Fiscal Year Research-status Report
協同学習モデルを適用させた情意・社会的領域の学習成果に対応したダンス授業の在り方
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19K20096
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Research Institution | St. Catherine University |
Principal Investigator |
栗田 昇平 聖カタリナ大学, 人間健康福祉学部, 准教授 (40759255)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 体育授業 / 情意・社会的領域 / ダンス授業 / 協同学習 / アクティブ・ラーニング / 小学校高学年 / 主張性 / 認知的共感性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、情意・社会的成果に対応したダンス授業の在り方を明らかにすることを目的として行われている。また、研究の目的に達成を企図して、協同学習モデルと呼ばれる学習者同士の相互作用を学習資源として効果的に活用するための授業モデルを導入している。 本年度の計画では、前年度の小学校表現運動領域における体育授業実践の課題に基づき、改善計画を立て、再度、同学年において授業実践を行う計画であった。前年度の実践では、課題解決構造が、学んだ概念を用いて新しい動きを考えるといったオープンエンドな性質も持っていた場合、児童間のグループ活動において停滞がみられやすく、結果として授業実践を行う教師も葛藤を覚えやすいことが示唆された。本年度では、その課題を解決するために、オープンエンドな課題解決構造の中でも、簡単な例となる動きを習得した上で同様の動きを考えるといった問題解決に至る足場かけの支援を計画に導入した上で、授業実践に臨んだ。 結果として、前年度と同様に、主張性、認知的共感性及び学級集団意識といった情意・社会的能力が単元の事前事後の間で統計的に有意な向上がみられた。しかし、その向上の傾向が前年度と比較して顕著というわけではなかった。 その理由として授業者に対するインタビューやフィールドノートの分析から児童集団の属性の違いが考えられた。授業者の語りや単元前における質問紙調査からも社会・情意的能力について課題がみられる児童が一定数みられた。実際に授業単元中においても、何回か児童間で衝突がみられた。人間関係に関わる諸能力の育成において、そういった葛藤を経験すること自体は重要であるが、そういった出来事が短期的に情意・社会的能力の認識に負の影響を与えた可能性は十分に考えられることである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究計画当初は想像もしていなかった新型コロナウイルス流行という出来事もあり、年度初めの時点では、研究を引き受けていただく小学校と全く連絡が取れない状況が続いた。 しかし、そういった情勢からやや遅れ気味に本年度の研究活動がスタートしたにも関わらず、研究計画当初に想定していた2回目の授業実践を終えることができた。授業実践内において感染症対策として接触を控える必要がある場面などもあり、計画を微調整しながら進めざるを得なかったが、前年度と同様の手法でデータを収集することができたのは進捗状況として大きな収穫である。 これらの理由ももって、おおむね順調に進展しているとの判断とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後においては、本年度に収集したデータに基づき、データの分析を行い研究成果をまとめ、学会発表及び学会誌等の手段をもって成果の公表を行う予定である。 データの分析においては、特に授業者に対するインタビューやフィールドノートや記録物といった質的データを重点的に取り扱い、仲間同士の検証やメンバーチェックなどの手法をもって知見の信頼性及び妥当性の担保を行うこととしている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス流行によって、旅費の支出が抑えられたことが次年度使用額が生じた理由である。 また、次年度における使用計画としては、研究協力者である小学校教諭との研究打ち合わせのための旅費や、分析の際の人件費及び研究成果発表のための諸経費として利用するつもりである。
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Research Products
(1 results)