2021 Fiscal Year Research-status Report
協同学習モデルを適用させた情意・社会的領域の学習成果に対応したダンス授業の在り方
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19K20096
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Research Institution | Osaka University of Health and Sport Sciences |
Principal Investigator |
栗田 昇平 大阪体育大学, 教育学部, 講師 (40759255)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 協同学習 / 情意・社会的領域 / 体育 / ジグソー / 表現運動 / アクティブ・ラーニング / 実践研究 / ナラティヴ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究データの分析と学会大会での研究成果の公表を行った。 昨年度までは、協同学習モデルを適用させた小学校高学年を対象とした表現運動の授業実践を2回行った。授業実践に際して、協同学習モデルのストラクチャーとして「ジグソー」を採用した。初年度に1度行い、その次年度に1度目で挙げられた課題を修正し、再度同様の授業単元を行った。 本年度は、2年間で収集されたデータに対して、質的分析ソフトであるMAXQDAを用いた帰納的分析(メリアム,2004)を行うことによって概念の生成を行った。また、概念化を行った後に、授業者の持つ授業実践に関するナラティヴを軸としてナラティヴストーリーの生成を行い、概念の配列を行うことで協同学習モデルの適用過程のモデル図を作成した。ナラティヴストーリーの作成に関しては、やまだ(2007)の「質的研究における対話的モデル構成法(MDMC)」を基盤として、川島(2007)のライフライン・インタビュー法を用いることによって、適用過程の時間的な変化を維持しつつ行うことを可能とさせる手続きを採用した。 また、作成したモデル図の妥当性及び信頼性を担保するために授業者に対してインタビュー形式でフォローアップ調査を行った。主に著者のインタビューデータの解釈と作成したナラティヴストーリーの解釈について妥当であるかについて聞き取りを行い、著者と授業者のデータの解釈の齟齬の修正を行った。 データの公表については、日本スポーツ教育学会第41回学会大会にて、ポスター発表の形式で行った。オンライン形式の実施であったが、質疑を受けることによって、研究の課題点を明確にすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初提出していた計画では、最終年度の3年目においてはデータの分析が終了しており、研究の公表を終えていることとされていた。本年度の進捗状況を評価すると、データの分析を一通り終えて、学会及び雑誌において成果の公表を行っているため、概ね順調に進んでいると評価できると考えている。 授業実践については、1年目並びに2年目に続けて行うことができ、データ収集についても概ね想定通りのものであった。データの分析については、授業への協同学習モデルの適用過程を描くことの出来る研究方法論について現在の体育科教育学研究においては適合するものがなかったため、データ収集と並行して、広く文献にあたり探索的に行う必要があった。結果として、ナラティヴアプローチに活路を見いだすことができたのは僥倖であったといえる。 1点、著者である私の異動と新型コロナウイルスの流行が重なり、学外への出張が不可能になり、フォローアップ調査が十分に行えていなかった点が課題として挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究課題として、結果のフォローアップ調査が不十分である点が挙げられる。分析によって生成したモデルの信頼性、妥当性を高めるためにも授業者との対話を重ね、本年度も再度実践を行う等をしていくことで研究の推進が図られるとみている。 また、並行して、論文投稿等、研究成果の公表にも努めていきたい。
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Causes of Carryover |
昨年度(2021年度)、研究者の異動と新型コロナウイルスの流行により、出張を伴った実地調査が困難であったため、調査結果のフォローアップを十分に行うことができなかった。本年度は、新型コロナウイルスの流行状況の改善とワクチンの普及、感染症対策の変化等もあると考えられるので、昨年度困難であった出張を伴った実地調査を行いたいと思う。実地調査では、インタビューや授業実践の記録などを行う予定であり、予算はそのための機器や出張費等に充てる計画である。
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Research Products
(1 results)