2019 Fiscal Year Research-status Report
運動のばらつきの特性とその脳内神経基盤の包括的理解
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19K20103
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
上原 一将 生理学研究所, システム脳科学研究領域, 助教 (90746661)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脳波 / 運動制御 / Flexibility / 探索的学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,運動のばらつきの原因と考えられている神経系ノイズを脳活動のばらつきや脳内ネットワークのゆらぎの観点から脳波を用いて定量化し,運動のばらつきの原因となる脳内神経基盤を理解することである。これに加え,運動のばらつきの運動制御機構における機能的意義について運動学習実験を通して理解することである。本年度は運動のばらつきの原因となる脳内神経活動すなわち脳活動のばらつきや脳内ネットワークのゆらぎとの関係を明らかにする研究計画に取り組んだ。研究計画書では本年度の進捗予定として,研究環境の構築と実験課題プログラムの開発を主として予備実験を開始するとしていた。本年度は予定通り,実験開始に向けての研究環境整備と実験課題の構築を行った。LabVIEWシステムを用いて課題制御と脳波やその他の生体信号と同期を取るシステムを開発した。多人数を用いた実験課題の予備実験は行えていないが,計測システムの確認は行えており,令和2年度前半に行動実験のみの予備実験を行い,計測を遂行する上で問題点がないかを確認する予定である。その後,脳波計測も追加して本実験を開始する予定である。 また,これと並行して,脳波解析に備えて解析に必要なプログラム環境の構築を進め,脳活動の情報流(トランスファーエントロピー)や脳活動の揺らぎの指標となるflexibility解析などのネットワーク解析が可能となっており,令和2年度よりデータ計測と解析を進める準備が整っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書では本年度の進捗予定として,研究環境の構築と実験課題プログラムの開発を主として予備実験を開始するとしていた。実験課題プログラムの開発は概ね終了し,予備実験を開始する準備は整いつつある。脳波計測に関しては現在,所属機関で新たなシールドルームを設置しており,ノイズが軽減できるシールドルーム内で計測を行った方が良いと判断したため,脳波を組み合わせた本実験は令和2年度以降とした。多少の遅れはあるものの令和2年度前半で取り戻し,当初の目標が達成できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度前半で予備実験を終了し脳波を組み合わせた本実験を開始する。データ解析に関しては本年度で環境が整っているため,同時並行でデータ解析を行う。令和2年度内で運動のばらつきの原因となる脳内神経活動すなわち脳活動のばらつきや脳内ネットワークのゆらぎとの関係を明らかにする。令和2年度後半で研究成果をまとめ始め,学会・論文等で成果を報告できるように準備を進める。また,二つ目の研究として,運動学習実験をもとに,ベースライン(運動学習初期)の運動のばらつきが運動学習習熟度と関連するか,また運動学習初期の神経活動のばらつきあるいは脳内ネットワークのゆらぎは運動学習において有効であるかを明らかにする研究の予備実験をスタートさせる。
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Causes of Carryover |
本年度被験者謝金等を計上していたが,多人数をリクルートして行うデータ計測まで到達しなかったため,本年度計上していた人件費は令和2年度の計測で使用する予定である。また,予備実験開始前に計測システム環境の整備を行い,必要な物品を購入する予定であったが,本年度は多人数を用いた計測まで到達しなかったため,令和2年度に繰り越し分を使用して環境を整備する予定である。
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