2023 Fiscal Year Research-status Report
エピジェネティックな発現制御に基づく加齢性白内障発症メカニズムの解明
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19K20111
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
井波 真弓 福井大学, 工学部, 技術職員 (20816839)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 白内障 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
白内障は、水晶体が白く濁ることで視力が低下する疾患であり、世界的な失明原因の第1位である。この疾患の治療方法は、白内障を発症した水晶体を摘出し、人工レンズを挿入する外科的な手術のみであり、一部の発展途上国では治療の施術が困難であること、また、後発白内障などのリスクがあるため、簡便に治療できる点眼剤のような治療薬の開発が望まれている。本研究では白内障発症メカニズムを明らかにするための新たなアプローチとして、塩基配列に依存しない遺伝子発現の制御を示す「エピジェネティクス」に着目した。エピジェネティクスは環境や生活習慣などの後天的な影響で変化し、そのシステムの異常は様々な疾患を発症させるため、老化や糖尿病が原因となる白内障の発症にも関与すると考えた。ラットやマウスを用いたモデル実験により得られた結果とヒトサンプルの解析結果を総合することにより、様々な要因が複合して発症するヒト加齢性白内障の発症メカニズムの総合的理解を目指す。昨年度までにPPARアゴニストやピルビン酸がラット ex vivo モデルにおいてガラクトース誘導白内障の治療効果を示すことを見出し、白内障治療効果に寄与する候補遺伝子を抽出した。今年度は、より詳細な生体内での白内障発症メカニズムを調べるために、遺伝性白内障ラット(ICR)をモデルとした研究を行った。白内障進行の異なる段階で水晶体を取り出してRNA を抽出し、マイクロアレイおよびリアルタイム PCR の解析を行い、候補遺伝子を抽出した。さらに、PPARアゴニストをICRに点眼し、白内障治療効果があることを見出した。また、福井大学医学部眼科学教室との共同研究により、加齢性白内障患者の手術時に採取したサンプルを用いて、マイクロアレイ解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の計画通り、ICRを用い、白内障進行の異なる段階で水晶体を取り出してRNA を抽出し、マイクロアレイおよびリアルタイム PCR の解析を行い、候補遺伝子を抽出した。また、PPARアゴニストがICRにおいて点眼薬として治療効果を示すことを見出した。さらに、臨床で得られたヒト加齢性白内障サンプルを用いた遺伝子発現解析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
糖白内障発症モデルおよびICRモデル実験により抽出した候補遺伝子について、ヒト加齢性白内障でも発現変動が見られるかリアルタイム PCR により確認する。また、ヒト加齢性白内障における遺伝子発現解析の結果を用いて、皮質混濁の進行度や糖尿病の有無によって発現が変動する遺伝子を抽出する。
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Causes of Carryover |
端数が生じたため
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Research Products
(2 results)