2023 Fiscal Year Research-status Report
がん微小環境に着眼した肺癌に対する栄養療法の抗腫瘍効果の解明
Project/Area Number |
19K20118
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
岡田 悟 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20572085)
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Project Period (FY) |
2021-11-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肺癌 / がん微小環境 / 腫瘍免疫 / 栄養 / 栄養療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,免疫チェックポイント阻害剤によるがん免疫療法が劇的な効果をあげ,患者が本来もっている免疫力の大きさを再認識させた.免疫力が患者の栄養状態に よって左右されることは知られているが,栄養状態ががん微小環境における腫瘍免疫にどのような影響を与えているかはいまだ解明されていない.そこで「栄養 状態が局所の腫瘍免疫にも反映されており,栄養状態が不良だと腫瘍免疫が十分機能せず腫瘍進展を抑えられなくなるのではないか」との仮説のもとに,①肺癌 患者における栄養状態と,腫瘍浸潤リンパ球やPD-L1発現状況などを含むがん微小環境との関連を明らかにし,②栄養状態・栄養療法が,がん微小環境にどう影 響を与えるかを動物モデルで前向きに検証することを本研究の目的とする. 肺癌手術例における術前栄養状態とがん微小環境との関連の解明を目的に,肺癌手術検体で,がん微小環境に関連するマーカーを免疫組織染色を用いて評価する 準備を進めた.リンパ球・腫瘍におけるPD-1・PD-L1の発現,細胞傷害性Tリンパ球(CTL)・制御性Tリンパ球(Treg)などの腫瘍浸潤リンパ球に関連するCD3,CD4,CD8,Foxp3,CD20,がん微小環境の調整に関わるTGF-β,IFN-γなどのサイトカインの染色性の検証を行った.同一検体内で多重染色法を用いて標的細胞を抽出する手法の検討を進めている.また,対象症例の術前の栄養状態(PNI値,血清アルブミン値,末梢血リンパ球数,BMIなど)やその他の臨床病理学的背景 を含むデータベースを作成し,臨床データにおける術前栄養状態と肺癌手術治療における短期・長期予後の検討を行った.栄養状態に関連してCT画像から抽出できる可能な骨格筋量をもとにサルコペニアを評価し、サルコペニアと肺癌手術治療における短期・長期予後の検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初予定していた免疫組織染色法に加え,多重染色による評価が有用である可能性があると考え,多重染色を用いた染色準備に時間を要している.それに伴い動物実験の開始が遅れている.また,予期していなかった研究者の生活環境の変化(家庭の事情)により研究にエフォートを割くことが難しかった.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となるため可及的に肺癌手術検体での染色と評価を進めていく.続いて,マウス皮下腫瘍モデルにおける低栄養によるがん微小環境への影響の解明を目的に,低栄養マウスモデルの確立,それを用いた実験を遂行していく.
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Causes of Carryover |
免疫染色に用いる抗体はすでに購入していたものを用いて実験を進めていたため,計上していた経費を使用しなかった。研究者の家庭の事情により,研究が滞る期間があったため、遅滞の原因になった。また免疫染色の結果を待って動物実験を始める予定であったため,計画していた動物実験用の経費も同じく使用できていない. 最終年度は予定した計画を遂行すべく,研究を進めていく,その過程で,必要になる免疫染色の抗体購入費や動物実験に要する費用がかかるため,前年度使用できなかった分を繰り越して使用することになる見込みである.また,前年の遅滞の原因となった研究者の環境も元の状態に戻ったため、研究に費やす時間を確保することができる予定である.
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