2019 Fiscal Year Research-status Report
脂質エネルギー代謝転写因子SREBPの免疫系干渉を介した生活習慣病制御機構の解明
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19K20124
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
煙山 紀子 東京農業大学, 応用生物科学部, 助教 (50747350)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | SREBP / 小胞体ストレス / 生活習慣病 |
Outline of Annual Research Achievements |
生活習慣病は、身体の過剰な脂質蓄積と各種ストレス応答を介した非感染性の炎症が持続し、重篤な病態へと進行していくため、代謝・ストレス応答・免疫機能の制御が鍵となる。 本研究は、食事によって活性が著明に変動する脂質合成制御転写因子Sterol regulatory element-binding proteins (SREBPs)と、ストレス応答との詳細な関与を明らかにし、脂質代謝以外の干渉作用に着目し、生活習慣病に対する役割を明らかにすることを目的とする。 今年度は、培養肝細胞を用いて小胞体ストレスを誘導し、SREBPsの発現変動をみるとともに、SREBP-1をsiRNAにてノックダウンし、次世代シーケンサ―を用いたRNA-Seqを行い、遺伝子発現パターンの網羅的プロファイリング、発現が増加あるいは減少している遺伝子のクラスタリングを行った。その結果、小胞体ストレス誘導下において、SREBP-1a、SREBP-1c、SREBP-2は小胞体ストレス誘導においてそれぞれ異なる挙動を示した。また、免疫系に関わる遺伝子が肝細胞の小胞体ストレス下において発現が誘導され、SREBP-1のノックダウンにより抑制されることが示された。また、その遺伝子は、炎症や線維化を伴う非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)マウスモデルの肝臓においても著明に発現上昇が認められた。一方で、単純性脂肪肝を示すマウスモデルの肝臓においては変化がみられず、SREBPと免疫系の遺伝子発現動態が、NASHのような慢性的な炎症を伴う肝疾患に影響を及ぼす可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroにおけるRNA-Seq解析と、その結果を踏まえ、in vivoにおける慢性炎症モデルにおける解析が終了したため
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroの解析において、RNA-Seq解析で見出した遺伝子について、SREBPsの制御下にあるか否かについて、ChIPなどの検討を行う。また、肝細胞以外の、肝非実質細胞においても同様の検討を行う。 in vivoの解析において、マウスに一過性に小胞体ストレスを起こした場合ならびにNASHのような慢性的に小胞体ストレス状態が惹起されているとされる病態において、SREBPsならびにRNA-Seqで見出した遺伝子の発現変化と、それがどの細胞に起因しているか、Real time PCR、in situ hybridization、免疫組織化学染色を駆使して検討を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由について、出産に伴い産休・育休を取得したため、当該年度の使用額が減少したことが理由に挙げられる。 次年度においては、in vitroでは肝細胞以外の肝実質細胞における検討、in vivoではNASHモデルやその他の慢性炎症を惹起したモデルを用いた検討など、申請に則った研究を実施する。そのため、新規の細胞や関連試薬、モデル動物作製に伴う餌や解析試薬等の購入に研究費を用いる予定である。
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Research Products
(4 results)