2019 Fiscal Year Research-status Report
非肥満者における低炭水化物食が血液脂質代謝マーカーへ与える影響
Project/Area Number |
19K20127
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
伊藤 智子 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 研究助手 (50831864)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 低炭水化物食 / 熱産生栄養素 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満者の減量へ効果をもたらす低炭水化物食は、主食を抜くことにより誰にでも簡単に継続できるダイエット法として肥満者のみならず非肥満者においても普及している。しかしながら、減量を必要としない非肥満者において、低炭水化物食が健康指標へ与える影響は十分に検討されていない。そこで本研究では、課題①:低炭水化物食と血液脂質代謝マーカーとの関連を検討し、低炭水化物食が血液脂質代謝マーカーに及ぼす影響の強さを明らかにするとともに、課題②:肥満者および非肥満者のそれぞれにおいて、低炭水化物食による血液脂質代謝マーカーへ及ぼす影響を横断的・縦断的に明らかにすることを目的とする。さらに、保健指導の現場において適切な食事の処方を提案するためのエビデンス構築を目指す。 本研究では、大学同窓生を対象とした大規模コホート研究の参加者のうち、大学キャンパス内において実施する健康診断・体力測定に参加した中高年者において検討を行う。研究参加者の栄養摂取状況は簡易型自記式食事歴法(BDHQ)により推定し、熱産生栄養素のエネルギー比率から低炭水化物食スコアを算出する(スコアが高いほど低炭水化物食となる)。研究初年度である2019年度は、測定を遂行するとともに、研究課題①を検討した(横断研究)。中高年者952名を対象に男女別に解析した結果(共分散分析)、男性では、低炭水化物食スコアが高いほど血中総コレステロール濃度値が高く(p for trend=0.044)、血中LDLコレステロール濃度値は高い傾向が示された(p for trend=0.051)。女性においては低炭水化物食スコアと血中脂質代謝マーカーとの関連は示されなかった。男性においては低炭水化物食の度合いが高いほど、血中脂質代謝マーカーとの関連が示唆され、保健指導における適切な食事の処方を提案するためエビデンス構築の可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は研究計画通り測定の遂行に従事し、データ入力・整備を行い、測定の流れを確立することができている。実際、2019年度は220名の測定を行い、これまでに総計1388名の測定が問題なく完了している。データ解析においては、低炭水化物食スコアと血中脂質代謝マーカーとの関連が確認され、低炭水化物食が健康指標へ与える影響が示唆されている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、データの信頼性を高めるためにサンプルサイズを増やした解析を行い、低炭水化物食と血中脂質代謝マーカーとの関連についてこれまでと同様の結果が得られるかどうかについて確認する。得られた研究成果については(研究課題①)、学術誌投稿に向けて論文執筆をする。研究参加者の測定については、新型コロナウィルスの収束をみて再開する予定である。
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Causes of Carryover |
血液分析代が採血人数の変更により少なくなったため、次年度使用額が発生した。今後、採血物品用品の購入に当てる予定である。
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