2021 Fiscal Year Research-status Report
非肥満者における低炭水化物食が血液脂質代謝マーカーへ与える影響
Project/Area Number |
19K20127
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
伊藤 智子 東京家政大学, 家政学部, 特任講師 (50831864)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 低炭水化物食 / 熱産生栄養素 / 脂質異常症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、課題①:低炭水化物食と血液脂質代謝マーカーとの関連を検討し、低炭水化物食が血液脂質代謝マーカーに及ぼす影響の強さを明らかにするとともに、課題②:肥満者および非肥満者のそれぞれにおいて、低炭水化物食による血液脂質代謝マーカーへ及ぼす影響を横断的・縦断的に明らかにすることを目的とする。さらに、保健指導の現場において適切な食事の処方を提案するためのエビデンス構築を目指す。 2021年度は、課題①②について、大学同窓生を対象とした大規模コホート研究の参加者のうち、健康診断、体力測定、食事調査に参加した中高年者において検討を行った。研究参加者の栄養摂取状況は簡易型自記式食事歴法(BDHQ)により推定し、熱産生栄養素のエネルギー比率から低炭水化物食スコアを算出する(スコアが高いほど低炭水化物食となる)。中高年者2169名の解析結果から(低炭水化物スコアを4分位にした共分散分析)、課題①では、男性において低炭水化物食スコアが高いほど中性脂肪が低い傾向が認められ(男性:p for trend=0.002)、低炭水化物食が動物性、植物性へシフトした場合においてもその関連は変わらなかった(動物性シフト:p for trend≦0.001、植物性シフト:p for trend=0.002)。女性では、低炭水化物食スコアと血液脂質代謝マーカーと有意な関連は認められなかった。課題②肥満者・非肥満者別の解析では、男性において肥満者・非肥満者ともに低炭水化物食スコアが高いほど中性脂肪が低い傾向が認められた(肥満者:p for trend=0.021、非肥満者:p for trend=0.003)。女性では、肥満者・非肥満者別に脂質代謝マーカーと有意な関連は認められなかった。男性においては、低炭水化物食の度合いが高いほど、体格に関わらず血中脂質代謝マーカーとの関連が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は、これまで取得したデータ用いて、研究課題②における検討を行った。しかしながら、新型コロナウィルスの感染予防対策のため、健康診断、体力測定、食事調査が未実施となった。データの収集においては研究課題の遂行が遅れていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、データの信頼性を高めるためにサンプルサイズを増やした解析を行い、低炭水化物食と血中脂質代謝マーカーとの関連について、同様の結果が得られるかについて確認し検討する。得られた研究成果については(研究課題①、②)、学術誌投稿に向けて論文執筆をする。研究参加者の測定については、新型コロナウィルスの状況を見て再開する予定である。
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Causes of Carryover |
データ収集のための健康診査、体力測定、食事調査が中止となったため、血液分析代などの研究経費が支出できず、次年度使用額が発生した。今後、採血物品用品の購入、測定再開とともに血液分析代などの研究経費へ当てる予定である。
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