2019 Fiscal Year Research-status Report
高カカオチョコレート摂取による認知機能および循環機能の改善効果に関する研究
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19K20133
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Research Institution | Nishikyushu University |
Principal Investigator |
山口 裕嗣 西九州大学, 健康福祉学部, 講師 (00826513)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | カカオポリフェノール / 認知機能 / 動脈硬化度 / 軽度認知障害 / 認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は認知症の症状を改善する方策として,カカオポリフェノール(cacao polyphenol, CP)を高濃度含有するチョコレートの継続的な摂取の有効性について,2年間で検証する計画である。1年目にあたる令和元年度は,認知症の予備軍とされる軽度認知障害(mild cognitive impairment, MCI)に対する有効性を検証した。併せて,その機序の1つとして考えられる血管内皮機能の改善効果についても検討し,両者の改善における関連について検証を進めた。 令和元年度の実績として,S県内の介護老人福祉施設の入所者,および訪問・通所介護サービス等を利用する高齢者23名を対象にランダム化比較試験を実施した。具体的な方法として,被験者23名をビターチョコレート摂取群(BC群)12名,およびホワイトチョコレート摂取群(WC群)11名に割り付けた。市販のチョコレートを1日2回,4週間,毎日摂取させ,介入期間4週間の前後に認知機能,動脈硬化度および身体組成を測定した。両群の被験者には市販のチョコレートを4週間摂取させた(午前10時および午後3時に各10 g,計20 g/日程度)。BC群には『チョコレート効果 カカオ72%(明治)』より,CPとして508 mg/日(127 mg × 4片)を摂取させ,WC群には『カレ・ド・ショコラ マダガスカルホワイト(森永)』より,BC群と同量の摂取エネルギー(112 kcal)となるよう,4片/日を摂取させた。 その結果,BC群の認知機能テストは12名中5名が改善し,動脈硬化度は12名中9名が改善した。さらに両指標の変化は負の相関を示す傾向が認められ、認知機能および動脈硬化度は相関をもって改善する可能性が示された。なお,WC群には関連のある変化はみられず,両群の身体組成にチョコレート摂取による有意な変化は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では対象者を認知症疑い(軽度認知障害)のある者としており,地域の介護老人福祉施設や訪問・通所介護サービス業者からの協力が必要不可欠である。本務校に着任して2年目であることから地域との関係構築が不十分であり,当初の見通しよりも協力施設が不足し対象者の選定が遅れてしまった。結果として,目標とする対象者数の40名には届かなかった。現在は,これまでの地域活動を通じて協力施設数も増加していることから,2年目の最終年度も対象者数を追加して検証を継続したい。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は認知症の症状を改善する方策として,高カカオチョコレートの継続的摂取の有効性について検証するものである。1年目の令和元年度は目標とする対象者数40名に到達できなかったため,最終年度の令和2年度も対象者数を積み上げて追加検証を進めたい。 具体的な方策として,隣県の病院等からも協力の申し出を頂いていることから,これまで以上のペースで研究を推進し,一定の成果を挙げられるものと考えている。パイロットスタディーも含めたこれまで2年の研究期間を通じて,本学周辺の介護老人福祉施設や公民館等より多大な協力を頂き,本研究に取り組むことができた。今後も地域住民のニーズに応えながらも,引き続き地域との協働の推進に積極的に寄与していきたい。
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Causes of Carryover |
令和元年度に購入予定としていた認知機能検査ソフト(軽度認知障害(MCI)検査サポートソフト,FCOG-100, フクダ電子社製)を別の事業経費より購入したため,物品費に次年度使用が生じた。 最終年度の令和2年度は繰り越した研究費を用いて,カカオポリフェノールを高濃度含有するチョコレートの継続的な摂取による認知症の改善効果について,血管内皮機能に加えて視覚機能などの観点からも,その改善機序を解明する研究に取り組む計画である。
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