2019 Fiscal Year Research-status Report
中小企業事業場における身体活動を中心とした健康経営モデルの創出
Project/Area Number |
19K20147
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
辻本 健彦 島根大学, 学術研究院人間科学系, 講師 (00713299)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 身体活動 / 健康経営 / 中小企業 / 地域 / 労働者 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、大企業を中心に健康経営の考え方が広まり、労働者に対する健康増進の取り組みが労働生産性や企業イメージの向上へつながる知見が生み出されつつある。しかし、全国規模で考えると企業数・労働者数のほとんどを占めるのは中小企業であり、そこでは健康経営の取り組みが遅れているのが実情である。 健康経営は様々な観点により取り組まれるが、本研究では、取り組みのしやすさや健康リスクへの影響、労働生産性への効果が期待できる「身体活動」に焦点を当てた中小企業向けの健康経営のモデルを創出することを目的とする。 今年度(2019年度)は、中小企業に対する健康経営の実態把握を行った。具体的には島根県下における従業員数が10名以上の中小企業事業所全てに対して健康経営の認知度、実態調査を実施した。送付件数は3009企業であり、有効回答数は1439企業(47.8%)であった。健康経営の内容を知っている企業は全体の約半数(48.3%)であり、そのうちの約4割がなんらかの形で意識をして健康経営に取り組んでいた。特に従業員数が多い事業所ほど健康経営の認知度が高く、取り組み割合も高かった。また、現在取り組みを行っていない企業でも「いずれ実践したい」と答えたのは8割にのぼった。具体的な取組内容について、定期健診の受診勧奨や周知、実施率、感染症対策、受動喫煙防止策については取り組み率が高かったものの、身体活動や食生活といった生活習慣に関わること、女性の健康課題、メンタルヘルス対策への取り組み関与は少ないことが明らかとなった。特に身体活動に関することでは、取り組み率が全体で9.7%であり、従業員数が多い事業所ほど取り組み実施率は高かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度に予定していた中小企業への健康経営に関する実態把握調査を実施することができた。中小企業が加入している協会けんぽと島根県の協力を得ることが出来たため、予想に反し、高い有効回答を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度においては、調査協力企業と連携して、身体活動に関連した健康経営の取り組みのあり方について検討を重ねていく。新型コロナウイルス対策により、従業員の働き方が変化せざるを得ない状況となり、予定していた計画が遂行できない可能性もある。また、企業からの協力状況も変化することが予想される。対応策として、事態の収束を待ちながら補助期間延長も視野に入れた形で当初の計画を実行するか、「新しい生活様式」を取り込んだ形での新しい健康経営のあり方を考えていくかを考えていくことになると考えている。
|
Causes of Carryover |
企業への健康経営実態調査を実施した際に見積もっていた金額よりも安価で実施することができたため、次年度仕様額が発生した。次年度使用額については、2020年度における学会発表および論文投稿の費用として使用する予定である。
|