地域高齢者の作業に関するヘルスリテラシー尺度の開発

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 19K20149
• Research Institution: Fukushima Medical University
• Principal Investigator: 川又 寛徳 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 講師 (00511106)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: ヘルスリテラシー / 作業療法 / ヘルスプロモーション / 介護予防 / 健康教育

Outline of Annual Research Achievements

近年，ヘルスプロモーションのアウトカムとして，ヘルスリテラシー（健康に関する情報を入手し，理解し，評価し，活用する能力）が注目されている．また，ヘルスリテラシーを測定する各種尺度が健康に関する様々な領域で開発されている．作業療法への応用として，高齢者が自身にとって重要な作業に関する情報を，いかに入手し，理解し，評価し，活用するかという作業に関するヘルスリテラシー（作業リテラシー）を測定する尺度はなく，課題であった．本研究は，高齢者の作業リテラシーを構成する概念を明らかにし，最終的にはその概念に基づく作業リテラシー尺度を開発することが目的である．
初年度（令和元年度）は，高齢者の作業リテラシーを構成する概念のうち，クライエント自身が作業についての情報を評価する視点を，作業の視点で書かれた事例報告を用いて検討し，（１）能力の認識と自己効力（２）やってみたい気持ち（３）興味（４）嬉しさ（５）心地よさ（６）意外さ（７）満足感（８）楽しさと面白さ（９）向上と工夫（１０）役割と責任（１１）献身（１２）一緒にやってくれる人（１３）日課（１４）回想（１５）環境要因の15のカテゴリーを抽出した．成果は日本作業療法学会で報告した．
本年度（令和2年度）は，上記の成果を再度検討し，【作業に対して抱く気持ちの評価】【作業と日常の関係の評価】【作業をする環境の評価】の3つのカテゴリーに整理した．この成果を論文化し，投稿中である．

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

尺度作成のため作業リテラシーの概念案を検討する目的でフォーカスグループ・インタビューを実施するにあたり，その前提となる情報を整理する目的で行った文献レビューの論文化に想定以上の時間を要したため，進捗状況が大幅に遅れている．また，新型コロナウイルス感染症拡大に伴う各種対応で研究時間を十分に確保することができなかった．

Strategy for Future Research Activity

作業リテラシーの概念案に関する論文を雑誌に投稿中であり，その論文が受理され次第フォーカスグループを開催できるよう準備を進め，遅延した分の研究課題を遂行する予定である．

Causes of Carryover

研究計画が大幅に遅延しており，本年度予定していた計画を実行することができなかったため次年度使用額が生じた．翌年度は遅延した分の計画を遂行する予定であり，フォーカスグループを実施するための人件費・謝金を中心に使用する予定である．