2020 Fiscal Year Annual Research Report
ミニ腸を用いたNa輸送体のカップリングパートナーの生理学的意義の解明
Project/Area Number |
19K20152
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
石塚 典子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (30440283)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オルガノイド / NHE3 / NaCl吸収 |
Outline of Annual Research Achievements |
体液量の調節には消化管からのNaCl吸収と腎臓でのNaCl排泄調節が重要である。しかし、消化管のNaCl吸収の分子機構は十分に明らかにされていない。現在までに消化管のNaCl吸収機構に関する多くの研究は動物レベルと細胞株レベルで行われてきているが、それぞれの手法ではデメリットがあった。そこで、本研究では、人為的に創出された「器官に類似した組織体」であるオルガノイドを腸管各部位から確立し、NaCl吸収機能を測定することにより消化管NaCl吸収機序を解明することを目的とした。 初年度は単層腸オルガノイドを作成し、小腸では絨毛上皮細胞様、大腸では表層上皮細胞様に分化していることが示唆された。本年度は、前年度の手法を応用し、小腸NaCl吸収能が低下しているマウス(TJ-KO)の機能解明を行った。コントロールである野生型マウスから作成した、未分化オルガノイドではNHE3の発現は観察されなかった。しかし、オルガノイドを分化させるとNHE3は頂端膜側に強く発現していた。TJ-KOマウス由来のオルガノイドでも、分化誘導をすると、NHE3は頂端膜側に発現が観察された。TJ-KOマウス由来のオルガノイドは一旦凍結保存すると、理由は不明であるが増殖能が低下し、単層上皮標本を作成するために十分な量を増殖させられなかった。このため、発現しているNHE3の輸送機能は評価することができなかった。今後、オルガノイドによるNaCl吸収機能と合わせて検討する必要がある。
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