2023 Fiscal Year Annual Research Report
加齢による立体運動視の脳内神経ネットワークの変化と転倒との因果関係の検討
Project/Area Number |
19K20156
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Research Institution | Fukuoka International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
池田 拓郎 福岡国際医療福祉大学, 医療学部, 准教授 (20611792)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 立体視 / 歩行 / 姿勢 / オプティックフロー |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトは,自己の定位情報と外界からの空間情報を統合し,安定した姿勢や歩行を調節していると考えられているが,視空間認知機能と身体制御との関係は明らかとなっていない.まず本研究では,健常成人におけるその立体視の感覚閾値の実態を明らかにし,静止立位ならびに歩行との関連を検討することを目的とした. 400個の白色ドット,0.2degのドットサイズ,5.0deg/secのドット移動速度,1degの固視点のサイズを1sec提示した.被検者には固視点を注視させ,湧き出し方向または吸い込み方向を選択させた.Weibull関数をもとに約80%の正答率が得られるoptic flow閾値(OF閾値)を算出した.立位姿勢時の足圧中心変位(center of pressure;COP)の測定には重心動揺計をサンプリング周波数20Hz, 記録時間60秒間の条件で記録した.歩行時の身体動揺には慣性センサを用いてサンプリング周波数200Hz,上下,左右,前後軸のセンサによって計測した.結果,立体視の感覚閾値の高い群は,低い群と比較して姿勢および歩行時の身体動揺が大きいことが分かった.次に,上述の視覚刺激条件で視覚誘発電位(visual evoked potential; VEP)を記録し,歩行時の身体動揺に与える影響を検討した.記録電極は国際10-20法に従い,O1, O2,P3, Pz, P4とし,サンプリング周波数1,000Hzの条件で記録した.歩行時の身体動揺は上述の条件と同様とした.その結果,歩行時の身体動揺が大きい群のVEPのP200潜時が低い群に比較して延長傾向であることがわかった.以上より,視空間認知機能のうち,立体視は姿勢ならびに歩行時の身体動揺に影響を与えていることが示唆された.
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