2019 Fiscal Year Research-status Report
動脈硬化症の関連分子であるLTBP-1の細胞遊走に関わる部位決定とその応用
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19K20157
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
三森 盛亮 千葉科学大学, 薬学部, 講師 (70433688)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | LTBP-1 / 動脈硬化症 / TGF-β / 細胞遊走 |
Outline of Annual Research Achievements |
Transforming growth factor-b ( TGF-β ) は平滑筋細胞やマクロファージに対して多様な作用を示すため、動脈硬化症において、重要な役割を担っていることは明らかである。そこで本研究では、このTGF-βを制御する分子として、TGF-β 複合体の一成分であるLatent TGF-β binding protein-1 ( LTBP-1 ) に着目し、遺伝子組み換え技術によりタンパク質の部分発現を行い、その機能を明らかにする。すなわち、現在最も広く受け入れられている動脈内膜肥厚過程において、LTBP-1の平滑筋細胞の遊走作用を有する部位を明らかにする。さらに、LTBP-1の機能とTGF-βとの関係性を明らかにし、粥腫の発症、進展および退縮にどのように働いているかを調べたい。以上から、動脈硬化症の予防および検査、また創薬のため有効な情報を提供する。LTBP-1は1990年にクローニングされて以来、全長の働きは明らかになりつつあるが、細胞遊走能をもつ部位は遺伝子の発見から28年経った現在も未だ明らかになっていない。またLTBP-1は、TGF-β の研究と比べると動脈硬化症において明らかになっていないことが多く、新たな知見が得られると確信している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、LTBP-1の機能解析を行いたい。そのために①組換え体発現用ベクターの作製、②HEK293細胞への導入、③LTBP-1組換えタンパク質の精製、④細胞遊走実験の順で研究を行う予定である。以上から、細胞遊走に関わる部位を明らかにした後、それ以外の部位の細胞への動態を確認することで機能解析を進める。現在下記の2つまで実験を進めることができた。①LTBP-1を構成するアミノ酸それぞれ1-872、873-1328、1329-1721までを組換え体として発現用ベクターに挿入するためにプライマーを設計し、PCRによりLTBP-1cDNAから遺伝子を増幅後、タンパク質発現用ベクターに挿入する。シークエンスで配列を確認し、プラスミドを精製した。②組換えタンパク質を安定的に得るためにセルラインを確立した。リポフェクション法を用い、発現ベクターのマーカーに耐性を持つ細胞を継代培養し、形質転換細胞を作製した。LTBP-1 は分泌タンパク質であるため、組換えタンパク質の合成で使用頻度の高いHEK293細胞を用いた。 LTBP-1のシークエンスを確認したところ、1塩基置換が2か所で確認された。修正用のプライマーを作製し、再度実験を行ったため必要以上の時間を要したが、現在は修正されており、それらのプラスミドは細胞に導入した。今後は確立したセルラインからタンパク質を精製し、それらの機能を解析する予定である。 一方で、約4か月もの間、コロナウイルス感染拡大防止の影響により学生による研究室での実験が出来なくなっており、今後の研究の進度に影響を及ぼすことは明らかである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、現在比較的予定通りに進められているため、今後は、③LTBP-1組換えタンパク質の精製、④細胞遊走実験の順で研究を行う。 タンパク質の精製ではより多くのタンパク質を回収できるように複数のカラムを用いて試したい。ある程度量が得られた場合には、透析などを行い、タンパク質溶液の品質を向上させたい。また同時に、アッセイ系である細胞遊走実験を行い、再現性の高い実験であるように準備したい。今回、遊走能を調べるためのコントロールである組み換えヒト血小板由来増殖因子 ( PDGF-BB ) は、凍結融解の頻度や凍結保存時間により遊走能が著しく失活することが分かったため、精製するタンパク質溶液に合わせて、最適な準備を行いたい。 以上から、細胞遊走に関わる部位を明らかにした後、それ以外の部位の細胞への動態を確認することで機能解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
オートクレーブの購入を予定していたが、購入を見送ったため予算が残った。研究の進度により購入時期を検討したい。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Metabolic changes of Japanese schizophrenic patients transferred from hospitalization to outpatients2020
Author(s)
Yoriyasu Uju, Tetsuto Kanzaki, Yuki Yamasaki, Tadayuki Kondo, Hideki Nanasawa, Yu Takeuchi, Yuta Yanagisawa, Shun Kusanishi, Chieko Nakano, Tetsuro Enomoto, Akahito Sako, Hidekazu Yanai, Seisuke Mimori, Kazuei Igarashi, Tsuyoshi Takizawa, Tatsuro Hayakawa
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Journal Title
Global Health & Medicine
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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