2019 Fiscal Year Research-status Report
サルコペニア有病者におけるグレーディング能力の特徴を探る
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19K20160
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
岡本 武志 東海大学, 健康学部, 講師 (80638320)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | サルコペニア / グレーディング能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢期における骨格筋量および筋力の低下、すなわちサルコペニアの予防・改善に対しては、レジスタンストレーニングの実施が有効であることが多数報告されている。一方で、日常生活において転倒・骨折を巧みに回避するためには、最大筋力以下での力発揮調節能力(グレーディング能力)が優れていることも重要と考えられ、グレーディング能力を向上させる運動プログラム構築の必要性が示唆される。 本研究の目的は、診断基準を基に分類したサルコペニア表現型の差異(速筋優位萎縮型か遅筋優位萎縮型)が、グレーディング能力にどのような差異をもたらすのかを明らかにすることである。本研究によって、サルコペニアの表現型を基にしたテーラーメイド的予防法の確立に繋がることが期待できる。 初年度では、実験実施の前段階としてグレーディング能力測定方法の確立を目指し、握力および膝伸展筋力のグレーディング能力測定手技に課題がないか確認した。握力および脚伸展筋力測定について、先行研究と同様のプロトコル(筋力最大値に対する80、60、40、20%の力発揮をランダム順実施)で行った結果、握力においては類似の結果が得られたが、脚伸展筋力測定においては、力発揮する脚とは逆の脚の接地が、測定値に大きく影響を及ぼすことが分かった。脚伸展筋力測定においては、測定方法の修正の必要性が課題として明確となった。同じく初年度における検討課題であったサルコペニアの分類方法の確立(筋線維タイプを考慮した分類)については、上記課題の検討に時間を要したため次年度にて取り組む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度にて検討予定であったサルコペニアの分類方法の確立が未検討であり計画に遅れが生じている。理由としては、同じく初年度での検討事項であったグレーディング能力測定方法の確立についての検討に、当初予定していたよりも時間を要したこと、また、新型コロナ感染症の影響により、当該年度末に予定していた筋量測定等の測定会が実施できなかったことが影響している。
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Strategy for Future Research Activity |
脚筋力測定方法の課題については、力発揮する脚の接地を防ぐよう補助具等を用いて機器の形状を修正する。新型コロナ感染症の影響が収まり、実験実施が可能となる際には、外出自粛等による身体活動不足が骨格筋量および筋力に影響していることが十分に予想される。被験者の選定においては、質問紙などを活用し、外出自粛期間における身体活動の量と質を把握することが必要な対応として考えられる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、当初初年度に支出予定であった筋力測定システムのアップグレードが、実施計画の遅れのために行えなかったことが挙げられる。次年度は、当該事項を遂行することから、必要予算として請求を行う。しかしながら、測定機器の修理費用として当初予定していなかった支出が生じたため、今後、筋力測定システムのアップグレードについてはその内容を予算残額を鑑み再度検討していく予定である。
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