2021 Fiscal Year Research-status Report
Estrogen prevents high-fat diet-induced obesity by suppressing an orexigenic function of ghrelin.
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19K20165
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Research Institution | Kyoto Koka Women's University |
Principal Investigator |
中木 直子 京都光華女子大学, 健康科学部, 講師 (40804183)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エストロゲン / グレリン / 高脂肪食 / 肥満 / 卵巣摘出ラット / 閉経モデルラット / インスリン / レプチン |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、昨年度に検討していたエストロゲン(E2)の高脂肪食(HFD)誘発性肥満改善作用が糖質代謝へ与える影響について、卵巣摘出ラットを用いて更なる検討を加えた。E2にはインスリン抵抗性を改善させる効果があることが知られているが、その詳細は明らかではない。また、グレリンには摂食亢進作用だけでなく、インスリン分泌抑制作用もあることが知られている。その結果、グレリンの関与は明らかにはならなかったが、HFDはE2欠乏下でインスリン感受性を低下させる一方、E2補充は骨格筋におけるプロテインキナーゼB(Akt)のサブタイプであるAkt2とその下流にある分子量160kDaのAkt基質(AS160)の経路を活性化することで、インスリン感受性を改善する可能性を明らかにした。そしてこれらの結果を、2022年3月に査読付き学術誌であるPhysiological Reportsで公表することができた。 また、若年女性を対象とした実験も同様に、昨年度から継続して摂食刺激によるグレリン分泌反応に女性ホルモンが関与する可能性を検討したが、新型コロナウィルス感染症拡大により被験者の募集が難航した。月経周期の3期間(月経期、排卵前期、黄体中期)で血漿グレリン濃度の差は見られなかった一方で、グレリンと拮抗する作用をもつことで知られるレプチン濃度についても検討を加えたところ、月経期と比較して排卵前期に有意に高値を示した。このことから、女性ホルモン濃度の変化がグレリン以外の摂食関連ホルモンに影響を及ぼしている可能性が示唆された。また、新型コロナウィルスへの感染者が増加している期間に質問紙調査を実施した。324名からの回答が得られ、月経中と比較して月経前に食欲増進を訴える者が多く、とりわけ甘い食べ物への欲求が高まっていることも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請当初は、グレリンがもつ摂食亢進作用へのエストロゲン(E2)の作用部位の特定を2019・2020年度の2年間で行うことを想定していたが、研究結果を2020年3月に査読付き学術雑誌で発表することができたため、2020年度からはE2の高脂肪食誘発性肥満改善作用について、糖質代謝へ与える影響についても着目し、検討を加えた。その結果、グレリンの関与はみられなかったが、E2補充が卵巣摘出ラットの腓腹筋においてプロテインキナーゼB(Akt)のサブタイプであるAkt2と、その下流にある分子量160kDaのAkt基質(AS160)経路を活性化することにより、インスリン感受性を改善することを明らかにした。これらの結果は、2022年3月に査読付き学術誌であるPhysiological Reportsで公表することができた。 一方、若年女性を対象とした研究は、新型コロナウィルス感染症の拡大により被験者を増やすことができず、申請当初は3年間で予定していた研究期間を延長するに至った。2021年度は得られた血漿サンプルを用いて、グレリンと拮抗する作用をもつことで知られるレプチンについても検討を加え、月経周期間での差を明らかにしつつある。また、約300名を対象とした質問紙調査では、月経中と比較して月経前の食欲増進を訴える者が多く、とりわけ甘い食べ物への欲求が高まるという結果を得た。2022年度は生理・生化学的実験を進めるための被験者数を増やし、更なる検討を行う予定である。 以上のことから「(3)やや遅れている。」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時に予定していた通り、女性の月経周期に伴うエストロゲン(E2)の変動がもたらす体重・食事量・食嗜好性の変化と血漿グレリン濃度の関連について、検討を進める予定である。また、レプチンなどの摂食関連ホルモンについても検討を加えたい。具体的な実験計画は以下の通りである。 健康な女子大学生を被験者として募り、E2とプロゲステロンの血中濃度が異なる月経期・排卵前期・黄体中期の3期のうちのいずれも1日、計3日間とし、実験には次の項目を実施する。 (1)各実験日における、体重・体脂肪率・食事量の測定を行う。食事量の測定には、実験日前後2日間を対象に秤量法を行う予定である。また、食嗜好性を調査するために、チョコレート(低糖質・高糖質のものを2種類用意)とチーズ(低脂肪・高脂肪のものを2種類用意)への嗜好性について、ビジュアルアナログスケールを用いて評価を行う。 (2)各実験日の食嗜好性調査の前に採取した血液からE2とグレリンやレプチンといった摂食関連ホルモンの血中濃度を測定する。上記(1)におけるE2の影響に対する摂食関連ホルモンの関与を明らかにする。 (3)高エネルギー高嗜好性食品摂取時のグレリンの反応におけるE2の影響を明らかにするため、こちらが準備した昼食(1000kcal / 脂質エネルギー比:50%)を摂取した後に採血を行い、グレリンの血中濃度を測定する。
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Causes of Carryover |
2021年度実験で使用した試薬や抗体等は、所属大学の個人研究費等別の予算で購入することができたことと、若年女性を対象とした研究の被験者が予定通り集まらなかったため、予算に余裕が生じ、次年度への繰り越しが可能となった。繰り越し分を次年度予算の物品費(試薬代など)やその他(英文校正費、論文投稿費)に繰り入れることにより、女性ホルモンのエストロゲンがもつ高脂肪食誘発性肥満改善作用とそのメカニズムの解明を目指す本研究課題の効果的な推進を計画している。
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Research Products
(1 results)