2020 Fiscal Year Research-status Report
脂肪組織の加齢に伴う慢性炎症におけるFABP5の役割の解明
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19K20172
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
川口 耕一郎 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老化機構研究部, 研究員 (10794274)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 慢性炎症 / 加齢 / 脂質代謝 / 脂肪酸 / 脂肪酸結合タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢に伴って発症する脂肪組織の慢性炎症におけるFABP5の役割を明らかにし、FABP5を標的とした慢性炎症の治療応用へと展開するための分子基盤を確立することを目指している。2020年度は、3T3-L1細胞を用いて、①FABP5の発現制御機構の解析、②FABP5と相互作用するタンパク質の同定、③FABP5の炎症性変化への影響の解析(細胞レベル)を行い、以下のような結果を得た。 1. 3T3-L1細胞におけるFABP5の発現制御機構を明らかにするため、ルシフェラーゼアッセイおよびChIPアッセイを用いたFABP5遺伝子のプロモーター解析を行った。その結果、3T3-L1細胞ではFABP5の発現はNFκBにより主に制御されていることがわかった。 2. 脂肪組織でのFABP5を介する炎症性シグナル活性化機構を明らかにするため、3T3-L1細胞を用いてFABP5と相互作用する分子を探索した。その結果、FABP5はミトコンドリアの機能維持に関わるいくつかのタンパク質と相互作用していることがわかった。 3. 炎症性シグナル活性化におけるFABP5の役割を明らかにするため、3T3-L1細胞においてFABP5発現量をRNAi法により抑制した場合や、FABP5阻害剤を培地に添加した場合の炎症性シグナルの変化を定量PCR法やELISA法で検証した。その結果、FABP5の阻害により、炎症性サイトカインIL-8の発現量が顕著に抑制されることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FABP5の発現制御機構、相互作用するタンパク質の同定、炎症性シグナル活性化機構の解析について細胞株を用いた in vitro解析を行い、興味深い知見を得ることができた。これらの内容は当初の研究計画に沿っており、研究の進捗状況はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では加齢による脂肪組織の炎症状態を解析することを目的としている。現在、FABP5ノックアウトマウスの加齢育成は順調に進行しており、次年度後半にはノックアウトマウス由来の試料を用いた解析を行う予定である。また、さらに詳細なin vitro解析を進め、脂肪細胞特異的なFABP5の機能解明に取り組む。
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Causes of Carryover |
ノックアウトマウスを用いた解析に遅れが生じたため、当初2020年度に予定していたメタボローム解析費用を次年度に使用することにした。そのほかの実験計画に関しては大きな変更がないため、あらかじめ予定していた次年度分の助成金の使用計画にも変更はない。
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Research Products
(1 results)