2019 Fiscal Year Research-status Report
勤労者の身体活動実践と健康増進を支援するIoTシステムの開発
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19K20177
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
志村 広子 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特任研究員 (60626521)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 身体活動 / 座位行動 / 心身の健康 / 勤労者 / mobile health (mHealth) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、心身の健康問題に対し早急な対策が求められている勤労者を対象とし、IoTデバイスを活用した身体活動実践と健康増進を支援するシステムを開発することである。日常生活下で個人のデータを連続的に取得し、サーバー上で即時分析を行うことによって、適切なタイミングで介入を行うことを特徴とする。 2019年度は、本研究で用いるリストバンド型活動計と同等の出力が得られる加速度計(AMI社製アクチグラフ)を用いて予備的分析を行った。具体的な成果は以下の2点であった。 (1)座位行動中の加速度のゼロクロス値と積分値の分布を調べた。デスクワーク中心の生活をしている被検者11名を対象として、2種類の加速度計(AMI社製およびActigrpah社製)による同時計測を実施し、得られた値を比較したところ、Matthewsら(2008)による基準(Actigraph社製の加速度計で100カウント/分未満)に相当するAMI社製アクチグラフの出力は、ゼロクロス値で0~460(平均170)、積分値で0~13000(平均1140)程度であった。身体活動不足(座りすぎ)を判定する基準を決定するには至らなかったが、おおよその分布を把握することができた。 (2)勤労者84名を対象とした1週間の調査で得られたデータを用いて、抑うつ気分と加速度の関連を調べた。抑うつ気分のスコアと、抑うつ気分の各回答(1日4回)の前30分と60分それぞれの加速度の平均値との関連を調べたところ、加速度のゼロクロス値に関しては前30分、60分共に抑うつ気分との間に有意な負の関連が見られた。一方、加速度の積分値との間には関連が見られなかった。このことから、抑うつ気分の増悪を防ぐことを目的とした介入を行う場合には、積分値ではなくゼロクロス値を用いて判定する必要があると考えられた(論文執筆中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度の計画の主な内容は、身体活動不足を検知する技術の開発であった。主にAMI社製アクチグラフを用いて介入基準の検討を行ったが、本研究で用いるリストバンド型活動計そのものを使った調査を実施できなかった。2020年度中に、本研究用に開発された活動計を用いて身体活動不足を検知する指標を作り、検知のためのアルゴリズムを実装する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度中に具体的な介入手法を決定し、活動計とスマートフォンアプリを用いた予備的実証実験を行う。その後、必要に応じてシステムのデザインなどを修正し、大規模実証実験と効果検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度は予備的調査・分析を行ったものの学会発表、論文投稿には至らず、予定していた旅費、論文掲載費等が残る形となった。現在、研究成果の論文化等を進めているところであり、未使用分は2020年度に最大限活用したい。
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