2019 Fiscal Year Research-status Report
発酵食品の内臓脂肪の自然リンパ球を介した糖尿病発症抑制メカニズムの解明
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19K20187
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
橋本 善隆 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (70806140)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 自然リンパ球 / 腸内細菌 / 発酵食品 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病患者の増加の一因として食習慣の欧米化に伴う、腸内細菌叢の変化していることが考えられている。本課題では、腸内細菌の改変が内臓脂肪組織での自然リンパ球(ILC)、その中でも2型自然リンパ球(ILC2)の活性化を介して慢性炎症を引きこしていることを明らかにすることを目的として研究を実施している。 2019年度は糖尿病発症におけるILC2の役割を明らかにするべく研究を行った。 まず8週齢の野生型(WT)マウスに12週間高脂肪高ショ糖食(HF/HS)を給餌すると体重、内臓脂肪の増加とともに内臓脂肪組織内でのILC2が減少し、M1マクロファージ(M1Mφ)が増加、M2マクロファージ(M2Mφ)が減少した。 そこで、8週齢ILC2欠損マウス(ILC2KOマウス)およびWTマウスに12週間HF/HSを給仕したところ、ILC2KOマウスとWTマウスでは体重に差を認めなかったが、ILC2KOマウスでは有意な耐糖能異常を認めた。さらに、食事摂取量はILC2KOマウスで有意に少なかったにも関わらず、内臓脂肪比率は有意に上昇を認め、内臓脂肪組織内のM1/M2Mφ比が有意に上昇していた。内臓脂肪の脂肪細胞のサイズもILC2KOマウスで有意に巨大化しており、ベージュ化の指標であるUCP-1の発現はILC2KOマウスで有意に低下していた。遺伝子発現に関しても、ILC2から分泌されるil-5やil-13の発現は有意に低下している一方で、ILC2を刺激するil-33の発現は有意に上昇していた。その他、tnf-αなどの炎症マーカーや、fasnやscd-1のような脂肪酸代謝関連酵素が有意に上昇していることが確認できた。 これらのことから、内臓脂肪のILC2が慢性炎症を引き起こすことで糖尿病に関与していることを明らかとした。今後は腸内細菌との関連を明らかにするとともに、予防法の検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度予定していた、欧米食の腸内細菌叢および内臓脂肪の自然リンパ球(ILC)への影響の解明のうち欧米食の内臓脂肪のILCへの影響および2020年度に予定していた一部である糖尿病発症におけるILC2の役割を明らかにすることという目的を明らかにできているため、概ね順調にしているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題の最終年度となる本年度は欧米食の腸内細菌叢および内臓脂肪のILCへの影響の解明のうち腸内細菌叢と内臓脂肪ILCの関係を明らかにするとともに、当初の予定通り、欧米食による内臓脂肪ILCを介した糖尿病発症を予防すべくわが国の伝統的な発酵食の給餌を行い、糖尿病発症に対する防護的効果およびその機序を明らかにしていく。
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Research Products
(1 results)