2020 Fiscal Year Research-status Report
肺がん患者における治療前食習慣・腸内細菌とPD-1阻害剤治療の関連について
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19K20201
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
矢野 めぐむ 武庫川女子大学, 栄養科学研究所, 嘱託研究員 (70411973)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / 栄養調査 / 肺がん / 免疫治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年より肺がんへの適応が承認された免疫チェックポイント阻害剤は、治療方法の狭まる重篤な患者において使用が可能で有り、従来の治療方法と併せ使用することで治療成績が改善することが報告されてきており、標準治療に使用されるようになってきた。しかし、治療効果については、奏功例での効果は高いが、無効例の割合は未だ高く、その原因解明には至っていないため、治療効果と関連する要因の特定は非常に重要であると考えられる。そこで、より多くの患者で効果のある治療として免疫チェックポイント治療が用いられるため、体内免疫との関わりや、悪性黒色腫瘍治療の抗腫瘍効果として腸管内のバクテロイデス属が依存することが報告されている腸内細菌に本研究では着目した。 本年度は、同意が得られた初回治療より免疫チェックポイント阻害剤使用肺がん患者の治療開始前・治療経過中の採便回収、また腸内細菌は食事内容が強く影響すると考えられるため治療前の食習慣について詳しく調査(BDHQ)を行い、これに加え、生活習慣、体組成(InBodyS10)、BMI、握力、血液検査(栄養状態の指標等)について、治療効果とどのように関連するか調査を行った。まず、治療開始前、治療経過中の腸内細菌叢の変化が奏功と関連があるか解析し、多様性の変化について確認が行えた。さらに、異なる多様性の要因を詳細に解明するため集積したデータとの関連について調査を行い、原因因子の解明することで、治療効果の向上へ寄与することが出来るか検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度より開始した、腸内細菌の解析対象者へ行った食事調査、体組成測定、奏功判定等の調査データと期間ごとに採取した便より取得した腸内細菌叢データの関連について解析を開始した。今年度も解析対象者の人数を広げていく予定であったが、新型コロナウイルス感染症の状況を鑑み、これまでに同意が得られている人数での実施へと変更を行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの収集データより、治療効果の奏功と非奏功、それぞれの腸内細菌叢が奏功とどのように関連しているか、より詳細な検討を実施する。また、地域の健康な高齢者より採取した便から取得した腸内細菌叢データと、肺がん患者の腸内細菌叢の比較検討を行い、肺がん患者特異的な菌種を明らかにすると共に、菌の多様性など具体的な数値が明らかになることで、治療効果の見込める患者割合を増やす尺度となるか検討を行っていく。 栄養の観点からは、治療開始前の食事アンケート調査による食事摂取傾向が、奏功群と非奏功群により異なるか解析後、食事傾向からみた腸内細菌の特徴を明らかとすることで、治療開始前や治療中に、栄養素からの腸内細菌叢のフォローアップへつながる要因の探索を進める。
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Causes of Carryover |
今年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、新規の調査参加患者の調査を見送り、継続参加者のデータ収集に従事したため次年度使用残額が生じ、当初予定した腸内細菌のシーケンス実験等を次年度に繰越したので、繰越金の使用を予定している。
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Research Products
(1 results)