2019 Fiscal Year Research-status Report
口腔環境・咀嚼に影響を及ぼす食生活・遺伝要因の検討~食育プログラムの応用に向けて
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19K20202
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Research Institution | Nishikyushu University |
Principal Investigator |
今井 里佳 西九州大学, 健康栄養学部, 講師 (10795107)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 口腔環境評価 / 咀嚼能力定量化 / 口腔機能の維持・向上 / 食育プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、咀嚼機能を含む口腔機能の維持・向上を目指した食育プログラムの応用に向けて、口腔環境・咀嚼力を定量化し、かつアンケート調査により食生活の実態を把握することを目的としている。本年度は、若年成人18名を対象に唾液検査用装置や咀嚼チェックガムを用い、口腔環境や咀嚼力の測定を実施した。 口腔環境は、「歯の健康(むし歯菌,酸性度,緩衝能リスク)」および「歯ぐきの健康(潜血,炎症に関する白血球,たんぱく質リスク)」のカテゴリーに分け検討を行った。本被験者においては、「歯ぐきの健康」よりも「歯の健康」のリスクが高い傾向が見られた。また、アンケート調査により口腔の手入れ状況は、県民健康意識調査と比較し低い傾向がみられた。これらの結果より、本被験者は「歯の健康」にリスクを抱える者が多い可能性が示唆された。 続いて、口腔環境と咀嚼力との関係についても検討を行った。咀嚼力は、咀嚼前後のガムの色の変化を色彩色差計より測定し、L*, a*, b*値(CIELAB表色系)の5点平均値によりΔE値を算出し咀嚼能力評価値とした。この咀嚼能力評価値の中央値により群分けし、口腔環境を比較した結果、咀嚼力の高い群は低い群に比し口腔環境が良い傾向が認められ、咀嚼力の強化は口腔環境の改善に役立つ可能性が示唆された。 以上の成果は、本研究プログラムの基盤構築が達成されたほか、地域別の特徴に応じた食育プログラム構築の重要な基礎資料につながる可能性をもつと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度計画予定であった若年成人を対象とした口腔環境状態の評価、咀嚼力の定量化、食生活実態の調査を通して本研究プログラムの基盤構築は達成され、その研究の遂行は順調であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に構築したプログラムを基に、若年成人の被験者数データを増やすとともに、高齢者など様々なライフステージの被験者データの収集に取り組む。また、咀嚼能力と遺伝的要因との関連の検討の着手に向けての準備も進めている。
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Causes of Carryover |
購入予定であった口腔環境測定装置および色差計が、科研費申請から採択の期間中に購入可能となったため次年度使用額が生じた。 生じた当該助成金は、咀嚼能力と遺伝的要因との検討において必要な遺伝子解析に使用予定である(被験者数の増加に対応可能となる)。また、実際に研究を遂行した結果、調査に必要な機器類やパソコンは1台では時間をかなり要したため、台数を増やす必要があることが明らかとなり、これらの購入を計画している。
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