2022 Fiscal Year Research-status Report
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19K20220
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 孟留 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (50808475)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 状態空間モデル / 振動子 / 時系列解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
状態空間モデルを用いて時系列データに潜む振動成分をデータ駆動的に抽出する振動子分解について、パラメータ推定アルゴリズムの改良を行った。従来のカルマンフィルタによる対数尤度の逐次計算に基づく最尤推定アルゴリズムでは、データの時点数が大きいときに計算量が膨大になってしまうという課題があった。この課題に対するいくつかの対処法を検討した結果、Whittle尤度にサブサンプリングを組み合わせたアルゴリズムが計算時間の削減と安定した推定精度の両立という意味で実用的であることがわかった。このアルゴリズムは振動子分解に限らず一般の状態空間モデルのパラメータ推定に適用可能である。また、振動子分解プログラムのMATLABからpythonへの移植を行なった。
スロー地震の解析では0.02-0.05HzのVLFEや2-8Hzの微動をバンドパスフィルタによって取り出すのが一般的である。しかし、最近の研究によって、スロー地震活動はこれらの周波数帯域に限定されないことを示唆する結果が得られてきている。そこで、先行研究に倣って2016年4月10日の紀伊半島沖DONETデータに注目し、振動子分解によるスロー地震のデータ駆動的な抽出を試みた。結果として、0.01Hz付近と0.1Hz付近に振動子のクラスタが存在することが見つかった。
この他に、作用素スケーリング問題に対するSinkhornアルゴリズムのもつ量子情報幾何構造に関する論文が採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
振動子分解のパラメータ推定アルゴリズムの改良を行い、長時間のデータにも適用可能となった。また、紀伊半島沖のDONETデータに振動子分解を適用した結果をまとめて国際研究集会でポスター発表を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き脳や地震などのデータに潜む振動現象の解析を行う。必要に応じてモデルの拡張やアルゴリズムの改良にも取り組む。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスによる海外出張・招聘のとりやめ
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