2021 Fiscal Year Research-status Report
Accurate estimation of the probability distribution of sample maximum and its applications
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19K20223
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
森山 卓 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (30823190)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ノンパラメトリック推測 / 極値統計 / 標本最大値 / カーネル型推定 / 確率分布推定 / セミパラメトリック推定 / 漸近理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は新たに,有界な台を持つ母集団分布に従う標本の最大値の確率分布推定について,理論的性質および数値的性質の解明を行った.これは一般極値分布がワイブル型となる場合に対応するものである.一般極値分布がフレシェ型となる場合と同様,2次極値パラメーターまで考慮した一般的な場合を取り扱った.これにより,母集団分布が最大値吸引領域に属する全ての場合が尽くされ,標本最大値の確率分布推定の性質に関して本研究が取り扱う範囲の調査は完了した.理論的性質としては,パラメトリックな近似的推定量とノンパラメトリックなカーネル型推定量ともに一致性をもつものの,その収束オーダーは極値指数に大きく依存することが示された.これまでに得られた研究結果と合わせると,フレシェ型,グンベル型,ワイブル型と理論的性質は(一部を除き)極値指数を通じて連続的につながることを確認した.本研究成果を取りまとめる方針を変更し,これまで得られた結果と合わせて1つの論文となるよう原稿を修正した.そして研究成果の早期公表のため,原稿をArxivへ登録した. 2021年度は関連する研究として,標本最大値の確率密度関数の推定について調査を行った.本研究成果についても,2022年度内での国際誌での出版を目指す.さらに2021年度は,本研究課題の集大成である「標本最大値の高精度確率分布推定」の研究に挑戦し,Olkin and Spiegelman (1987)に基づく推定方法とCross-validation に基づく推定方法の2通りのセミパラメトリックな推定の可能性について数値的性質の側面から研究を行った.具体的には,推定量に含まれる mixing ratio について,さまざまな母集団分布を想定した下での数値的性質について調査を行った. 2021年度は以上の研究成果に関する2件の学術講演を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度までに本研究が目指す高精度推定法の確立に関して必要な研究の大部分が完了した.2021年度は一般極値分布がワイブル型となる場合に対応する,有界な台を持つ母集団分布族の下での推定量の理論的,数値的性質の解明に成功した.これまでに得られた結果と合わせると,標本最大値の確率分布推定について,極めて一般的な状況下での特性が明らかとなった.そして,これまでに得られた成果とあわせた研究成果の取りまとめも完了している.また2021年度中に標本最大値の確率密度関数の推定まで研究対象を拡げている. そして,集大成の研究課題である「標本最大値の高精度確率分布推定」の研究に2021年度着手した.すでに一定の成果が得られたことにより,2022年度内にすべての研究が完了する目処が立っている.現在は,Olkin and Spiegelman (1987)に基づく推定方法とCross-validation に基づく推定方法,いずれのセミパラメトリック推定量ともにパラメトリックな推定量とノンパラメトリック推定量の良い数値的な性質を併せ持つことを確認している段階である.以上のことから,本研究は「おおむね順調に進展している」と考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,集大成とも言える「標本最大値の高精度確率分布推定」に関する研究の総仕上げを行う.具体的には,さまざまな母集団分布を想定した下でのセミパラメトリックな推定量の mixing ratio および確率分布の推定値に関する数値的性質の解明を行う.特に,パラメトリックな推定量とノンパラメトリックな推定量に関して得られた理論的結果と照らし合わせ,mixing ratio を通じてセミパラメトリック推定量は条件ごとにどのような性質を持つか詳細な数値実験を行う.また高精度な確率分布推定方法として,いずれのアプローチが優れるか考察を行う. 得られた結果をもとに,先行研究を参考にしながら応用研究を併せて進める.分析の結果,セミパラメトリック推定量がパラメトリックに近ければ,これまでの極値理論に基づく推測のアプローチが正当化される一方で,ノンパラメトリックに近ければ,従前の推測結果に基づくリスク評価法を改良できる可能性がある.ただし,パラメトリックなアプローチによる極値指数の推定値とその安定性を加味しながら,本アプローチによる研究は慎重に進める. そして得られた研究成果を広く国内外に発信し,多くの研究者からのレビューを取り入れながら研究を完成させる.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた大きな理由は学会や研究集会のオンライン化に伴い,予定していた旅費を全く使用しなかったためである.2022年度も開催方法は不透明であるが,積極的に学会や研究集会へ参加する予定である.次年度使用額の多くを旅費として使用する計画である.
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Research Products
(3 results)