2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K20225
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
八木 文香 東京理科大学, 理学部第一部応用数学科, 助教 (40823547)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 単調欠測データ / 最尤推定量 |
Outline of Annual Research Achievements |
単調欠測データの下で,(I)成長曲線モデルにおけるパラメータの推定及び検定,(II)分散共分散行列に関する検定,(III)平均ベクトルの検定に対する新たな検定手法の提案について,いくつかの研究成果を得た.初めに,(I)については2020年度以前に得られた推定問題の結果を基に,2020年度にテクニカルレポートとしてまとめていた「分散共分散行列が既知の場合におけるAIC型モデル選択規準」についての内容を補強した.それが学術雑誌に掲載された. (II)については,まず「平均ベクトルと分散共分散行列の同時検定」における尤度比検定統計量をデータが3-step単調型欠測を持つ1標本問題の場合に求めた.完全データの場合の分散共分散行列の検定や同時検定の修正尤度比検定統計量に着目することによって,この検定統計量の帰無分布のカイ二乗近似を改良する検定統計量を提案した.その近似精度が良いことを,いくつかのパラメータに対してモンテカルロ・シミュレーションを行うことによって示しており,これらの成果をテクニカルレポートとしてまとめた.一方「分散共分散行列のスフェリシティ検定」については1標本問題における2-step単調欠測データの場合に,一部のデータを修正することによってカイ二乗近似を改良する検定統計量を提案した. 最後に(III)については,2020年度までに得られた2-step単調欠測データの結果を拡張し,一般の単調欠測データにおける1標本問題及び2標本問題における平均ベクトルに関する新たな検定統計量を提案し,その帰無分布の漸近展開を正確に導出することに成功した.近似上側パーセント点やカイ二乗近似を改良する変換統計量などをいくつか提案し,それらの数値的な検出力についても議論した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で記載の(I)に関しては計画通り成果を得ることができた. (II)に関しては,当初は「分散共分散行列についてのスフェリシティ検定」に関して,正確な修正尤度比検定統計量を提案する予定であったがその過程で容易ではないことがわかり,簡便な修正を提案することとなった.一方,関連する問題として「平均ベクトルと分散共分散行列の同時検定」については順調に研究を進めることができた.この同時検定については,2-step単調欠測データの場合に議論されていた先行研究の結果を,少し複雑ではあるものの3-step単調欠測データの場合へと拡張することに成功しまとめたものである.多標本問題の場合へ拡張することにも成功し,現在これらの成果をまとめているところである. (III)については,当初の予定を変更し,検出力も含めて研究成果をまとめることとした.現在数値実験を行いつつ成果をまとめているところであるが,順調に進めることができている.
|
Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」で記載の課題(I)に関して,推定問題については,2020年度までに1標本問題における一般ステップの単調欠測データの下での平均パラメータと分散共分散行列について,それぞれが既知の場合の最尤推定量に関する理論を与えることができており,その結果を2標本問題に拡張する.2標本問題の2-step単調欠測データの場合について現在議論を進めているところであり,その成果が得られた後に,多標本問題へ拡張することを考えている. (II)における同時検定問題については,3-step単調欠測データの場合には成果が得られているので,その結果を一般のk-step単調欠測データの場合へ拡張する.まずは,1標本問題から取り組む.また,分散共分散行列のスフェリシティ検定については,計算が複雑になってしまった原因を追究することから始める.
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で,2020年度に引き続き2021年度の学会等が中止またはオンラインでの開催に変更されることが多く,また研究打合せも延期になったため,次年度使用が生じた.2022年度は対面で学会に参加することが多くできるようになる見込みがあり,その参加や発表のための旅費として使用する.同様に,研究打合せのための出張旅費としても使用する予定である.
|
Research Products
(4 results)