2019 Fiscal Year Research-status Report
臨床研究における傾向スコアモデルの選択と因果効果の推測
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19K20227
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
安藤 宗司 東京理科大学, 工学部情報工学科, 助教 (40803226)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 統計的因果推論 / 変数選択法 / モデル選択 / スパース推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
ランダム化割付を行わない臨床研究では,比較群間の共変量の分布が異なるため,因果効果(平均処置効果)を推定する際,交絡の影響を取り除く必要がある.交絡の調整法として,傾向スコア法がよく用いられる.傾向スコアは未知であるため,モデルを用いて推定することが多い.傾向スコアモデルには,交絡因子と結果のみに関連する変数(結果予測因子)を含めることが推奨されている.しかし,限定的な状況な評価結果に基づいているため,この結果の一般化は難しいと考えられる.そこで,本研究課題では,傾向スコアモデルに含めるべき変数の重要度について,より詳細な検討を行う.さらに,その結果に基づき,傾向スコアモデルに交絡因子と結果予測因子を含めることができる変数選択法と頑健な平均処置効果の推定法について検討する. 2019年度の実績を述べる.傾向スコアモデルに含めるべき変数の重要度について,先行研究よりも一般的な状況を想定し,数値実験により評価した.その結果,先行研究の結果と同様に,交絡因子に加え,結果予測因子を傾向スコアモデルに含めることで平均処置効果の推定量の分散が小さくなることがわかった.したがって,傾向スコアモデルに含める変数は,交絡因子,結果予測因子の順に重要度が高いと結論付けた.傾向スコアモデルに交絡因子と結果予測因子を含めることができる既存の変数選択法であるOutcome-Adaptive Lassoを用いて,平均処置効果の二重頑健推定法を構築し,その性能を数値実験により評価した.さらに,傾向スコアモデルに交絡因子と結果予測因子を含めることができる新たな変数選択法として,Outcome-Adaptive Bridgeを提案した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示したように,当初の計画通り,本研究課題の目的について,数値実験による性能評価はある程度完了し,おおむね良い結果を示すことができた.しかし,数値実験で評価する想定状況をより一般化する必要がある.さらに,傾向スコアモデルの変数選択法については,数値実験による評価に加え,実データに適用した結果についても評価する必要があると考える.今後は,これらの残された課題について,統計的因果推論の専門家と協議を重ね,研究を進めたいと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
国内会議・国際会議を通じて,統計的因果推論の専門家から様々な助言を頂いた.これらの助言から,数値実験で想定すべき状況が足りないことが判明したため,まずはその課題に取り組む予定である.近年は,医学分野でも観測される変数が増加しており,高次元を想定した傾向スコアの推定法に関する研究が盛んに行われている.提案した新たな傾向スコアモデルの変数選択法を高次元データに適用できるように拡張することも検討したい.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスによる影響で,当初参加予定であった国際会議が中止となったため,当該助成金が生じた.2020年度参加予定としていた国際会議も新型コロナウイルスの影響で中止となったため,物品や書籍の費用として当該助成金を活用する予定である.
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Research Products
(3 results)