2022 Fiscal Year Research-status Report
非正規確率微分方程式モデルの汎用的統計手法の開発とその実装
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19K20230
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
上原 悠槙 関西大学, システム理工学部, 助教 (00822545)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 確率微分方程式 / 統計学 / ブートストラップ法 / 情報量規準 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、保険数理や数理ファイナンスにおいて広範に用いられている飛躍型拡散過程モデルに焦点をあて研究を行った。具体的には、推移密度関数の飛躍回数に条件付けた展開に対する評価から、ジャンプの有無を判定する閾値を含む推移密度関数の主要項を構成した。また、ここで得られた評価を用いて、期待対数尤度の評価を行った。また、擬似尤度に基づく期待対数擬似尤度を擬似最尤推定量の裾確率評価を基に評価し、上述の期待対数尤度との比較により、観測データのみから構成できる予測情報量規準の導出を行った。これにより、複数の飛躍型拡散過程モデルの定量的な比較が可能となる。しかしながら、依然として係数に関する有界性の仮定の解消はできていないため、今後の課題となっている。
また、非正規確率微分方程式モデルにおける、正規型擬似最尤推定量の漸近分布を、係数の誤特定および駆動ノイズの正規・非正規性を問わず統一的に近似するブートストラップ法に関する研究成果が、Annals of the Institute of Statistical Mathematics に採択された (DOI: https://doi.org/10.1007/s10463-022-00854-2)。本論文では、擬似スコア関数の重み付きブートストラップ推定量を構成し、漸近分布の近似を可能とし、統一的な信頼区間構築や統計的仮設検定の実施が可能となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
飛躍型拡散過程モデルの、飛躍回数に条件付けた推移密度関数の展開に基づく情報量規準の導出はできたものの、論文投稿に至っていない。また、考案した手法の実装も遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
飛躍型拡散過程モデルの予測情報量規準の結果を、係数の有界性の緩和を考慮に入れつつ論文投稿を行うとともに、国内外の学会で成果発表を行う。 加えて確率微分方程式モデルの誤特定下における統計理論構築も行う。 また、本年度受理されたブートストラップ法および上記の予測情報量規準によるモデル選択手法を統計言語 R へ実装する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスによる影響で、予定していた国外での学会講演が出来なかった点が次年度使用額が生じた理由として挙げられる。 生じた次年度使用額は、得られた研究成果の国内外での研究集会における発表のための旅費として用いる。 また、研究成果の国際誌への投稿の際、必要に応じた英文校正を行うための費用とする。
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