2020 Fiscal Year Research-status Report
Estimating network growth mechanisms without network growth information
Project/Area Number |
19K20231
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
PHAM THONG 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 特別研究員 (30803530)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 優先的選択 / 複雑ネットワーク / ネットワーク分析 / ハイパーグラフ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では次の成果が得られた. (1)動的情報なしのネットワークに対して優先的選択関数の推定方法を提案した。その過程で、従来法にはある選択バイアスが存在することを発見した。バイアスの原因は、与えられたスナップショットの中に存在した次数kだけが推定対象になるからである。 このバイアスを修正するために、次数kが観測されたスナップショットの中に存在する確率も考慮しなければならないことが分かった。これらの確率をシミュレーションを用いて反復的に推定する方法を提案した。シミュレーションおよび動的情報ありの実ネットワークの実験によって提案手法の有効性を示せた。この結果に関しては投稿中である。
(2)共著ネットワーク等のネットワークに対してハイパーグラフ成長モデルを提案した。通常のモデルでは全てのエッジが独立としてモデリングされるが、クラスター性の高い実ネットワークではエッジの集合が一緒に登場することがよくあるので、従来モデルではその従属性が失われ、クラスター性を再現できないと思われる。提案モデルはその問題点を改善し、実データで従来モデルよりもスラスター性をよく再現したことを確認できた。 提案したハイパーグラフ成長モデルの推定方法も提案した。ハイパーグラフを考えるので、エッジとノードの組み合わせの数が爆発的に増えて大きなネットワークではモデルの規格化定数を計算できない。そこで、規格化定数に関する再帰的式を用いて、規格化定数の計算問題を上手く部分問題に分けて、無駄なく計算していく方法を提案した。その方法によって大きなネットワークにおける規格化定数も計算できるようになり、提案したハイパーグラフ成長モデルのシミュレーションと推定が可能となった。この結果に関しては投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はおおむね当初計画どおり成果がでている.動的情報なしのデータに関する方法論の研究は計画通りに進んでいる.諸提案手法を発展させるために,様々な実データで検討を行い,予備的結果が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 優先的選択だけでは表せない実ネットワークの特徴が複数あるので、優先的選択に加えてノードの適応度も同時に考慮する柔軟性の高いネットワーク成長モデルを検討する。具体的にBarabasi-Bianconiモデルの拡張版を考えて、そのモデルの性質や推定方法を考案する。 予備的な結果として、このモデルにおけるエッジ配分に関する凝縮現象の存在が確認できた。凝縮現象の相転移の新しい条件も導出できた。観測データから相転移が起きるかどうかを判別する方法を検討している。
(2)そのBarabasi-Bianconiモデルの拡張版に対して次数分布だけでなく、他の局所的な性質(クラスタ係数等)やグローバル的な性質(半径や連結成分のサイズ等)も調べる。
(3) ハイパーグラフ成長モデルにおける次数分布や三角形の密度等を調べる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で当初予定していた出張は実現できなかったので、次年度使用額が生じた。今年度はオンライン開催される会議等を積極的に参加し、大規模な実データの分析のための計算機の調達も予定している。
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Research Products
(1 results)