2020 Fiscal Year Research-status Report
A study of the widely distributed edge computing environment introduced incentives due to operational quality
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19K20256
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柏崎 礼生 大阪大学, サイバーメディアセンター, 招へい准教授 (80422004)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エッジコンピューティング環境 / 経済的動機付け / 運用品質 / レジリエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はエッジコンピューティング環境において計算機資源提供者に経済的な動機付けを与えることにより運用品質を向上させることを目的としている。初年度は経済的動機付けにより運用品質が向上し得るかどうかを初歩的なエージェントシミュレーションを用いて実証した。2年目はより大規模なエージェントシミュレーションの実施と、コンテナオーケストレーションソフトウェアへの実装を目標としていた。が、COVID-19における混乱によりエフォートを十分に確保することができなかったことと、本研究の目標関数となる運用品質についてより定量的な指標が必要であるということが新たに明らかになったため、この点に集中した研究を推進した。 当初の前提として、エッジコンピューティング環境における計算機とネットワーク(あるいはインターネット)との接続は1回線で実現されるものとしていた。しかしながら1回線では冗長性の向上を計算機資源提供者が制御することはできない。そこで計算機資源提供者が投資をすることで複数回線で接続できる状態を考慮することとした。しかし回線本数がn倍になった時、可用性がn倍になるわけではない。これを定量的に評価する場合、回線が保証するサービスレベル同意(SLA)を根拠とした確率的指標が有用であると考え、これを導出する手法を提案し評価した。 3年目はこれらの定量的な指標を経済的動機付けと結びつけるべく、当初の計画に立ち戻り、コンテナオーケストレーションソフトウェアへの実装や実環境での実証実験を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
進捗の遅れとは考えておらず、研究の重厚化と考えている。当初は運用品質を極めて簡略化された形で想定していたが、計算機資源提供者の投資の多様性を鑑みるに、運用品質をそれぞれ適切に定量化する必要があることを初年度で気づかされたことが大きい。この部分を十分な時間をかけて定式化し、定量的な評価指標を確立したことは重要であった。一方で十分なエフォートを投じることができれば、コンテナオーケストレーションソフトウェアへの経済的動機付けの導入 (所有する実際的な資産残高に応じてデプロイすることのできるコンテナが制約される) についても少なくとも初歩的な実装はできたと考えているが、残念ながらCOVID-19の状況における本務負荷の増大に伴い、相対的に本研究に投資することのできる物理的 (時間的) 資源を減少させざるを得なかった。ただし、これは3年目である2021年度では実装可能であると考えている。重ねてしかしながら、当初3年目に想定していた実証実験と併せて3年目に行うことは困難であると考えており、終了の1年延長も念頭において研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では2年目の進捗の鈍化があった点が問題である程度で、今後の進捗に致命的な問題などは生じていない。ただし、2年目の鈍化分を3年目で解消し、なおかつ3年目に当初予定されていた計画も遂行することには、COVID-19の現状も加味すると、少々不安がある。また実証実験に関しては本研究で小規模に行うよりも、他の競争的研究資金などの協力のもと、より大規模に実践的な実験を行うことも考慮しており、現在そのための提案を行っているところである。 特に昨年度は予定されていた国際学会への出張が全て失われたこともあり、研究予算的な不足もなく計画が進捗している。今年度も国際学会への出張が困難である場合は、想定している延長年度での消化を想定するが、不必要に延長する必要もないと考えており、また不必要に成果発表をするものでもないと考えているので、適切な支出を執行し、余剰分については適切に返還することを考えている。
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Causes of Carryover |
COVID-19のため想定していた国際学会出張に参加できなくなったため。2021年度も第二四半期ぐらいまでは同様の状況が続くと見られる。2021年度で研究が達成できた場合は返還を、延長する場合は2022年度に行う成果発表にて執行する予定である。
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Research Products
(2 results)