2021 Fiscal Year Research-status Report
A study of the widely distributed edge computing environment introduced incentives due to operational quality
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19K20256
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柏崎 礼生 大阪大学, サイバーメディアセンター, 招へい准教授 (80422004)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エッジコンピューティング / 経済的動機付け / 運用品質 / レジリエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではサービス利用者やデータ提供源により近い場所に配置されたエッジコンピューティング環境の特質の一つである遅延の低さに注目をし、この特質がゆえにエッジコンピューティング環境では計算機資源の集中と大規模化が困難であり、そのため投資者の自律分散協調によってしか運用品質の向上が期待できないという問題点がある。本研究提案では特に、複数の組織や個人が計算機資源を提供し合うことにより構成されるエッジコンピューティング環境(コミュニティ・エッジ)に着目し、高品質な運用を維持しながらこの環境を持続・拡大させるために、運用品質を根拠としたインセンティブの導入を提案する。提案手法をマルチエージェントシミュレーションを用いて評価するとともに、実際に広く使われるクラウド・コンテナ基盤における提案手法の設計と実装、および広域分散プラットフォームを用いた実環境における評価実験を行い、提案方法の有効性を検証する。また異なるコミュニティ・エッジ間の為替決定方式についても提案と評価を行う。 本研究の1~2年目でマルチエージェントシミュレーションによる評価を実施すると同時に、この評価によって得られた、エッジコンピューティング環境における冗長回線の高可用性における価値の定量的な評価を行い、査読付き国際学会の予稿としてまとめている。3年目は実証実験による評価として、また実際のアプリケーションとしてBeyond 5G環境における透過的な分散処理基盤をターゲットとすることとした。この研究提案は情報通信研究機構の「Beyond 5G シーズ創出型プログラム」として採択され、初歩的な実証評価の設計を行った。この新たな研究開発提案の創出のため当初の目標であった実装評価に遅延が生じたことと、当初成果発表を予定していた国際学会がコロナ禍のため中止となったため、研究期間を一年延長することとしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでの成果について6本の査読付き国際学会予稿としてまとめており、これは当初の予定を越える進捗である。当初の予定を越える進捗となった理由として、初年度の成果から得られた「冗長回線の価値をレジリエンスの観点で定量的に評価を行う」という新たな研究課題を探究したことにもよる。一方で最終年度においては新たな研究提案に力点を置いたこともあり、またそれにより得られた新たな研究開発体制の構築に時間を要したこともあり、当初の予定通りの実証実験による評価が遅延してしまったことは、しっかりと減点して評価しなければならない。最終年度においては、上記のレジリエンスの研究提案も行っており、一つは情報システム研究機構の成果加速プロジェクトとして採択され、もう一方の科研費提案は残念ながら不採択であった。また、より厳しい環境でのエッジコンピューティング環境そのものの創発として、非電化地域におけるIP接続性の延伸という研究課題を生み出すことができた。この課題については2019年度に情報システム研究機構の未来投資プロジェクト(フィジビリティスタディ)として採択されたほか、2022年度の総務省戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)としても提案を行っている。これらの新しい研究提案を数多く生み出すことができたという観点も加味し、当初の計画以上の進展として自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
延長した4年目においては、3年目に予定していた実証実験の実施とその評価を行い、国際学会予稿、および論文の投稿を予定している。また、本研究期間内に創発された新たな研究課題に関する2022年度以降の研究提案を3件以上(すでに1件は実施済み)行う予定である。
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Causes of Carryover |
この新たな研究開発提案の創出のため当初の目標であった実装評価に遅延が生じたことと、当初成果発表を予定していた国際学会がコロナ禍のため中止となったため。
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Research Products
(2 results)