2021 Fiscal Year Research-status Report
多変数連立方程式の求解困難性を基にした耐量子暗号の安全性評価
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19K20266
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池松 泰彦 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 助教 (40833570)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 耐量子計算機暗号 / 多変数多項式暗号 / MinRank問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
耐量子計算機暗号(PQC)の一つである多変数多項式暗号(MPKC)に関連する以下の3つの研究を行なった。(i) 昨年度の研究に引き続き、有限体上の一変数多項式環の商環の行列表示を利用した署名方式QR-UOVの開発を進め、効率的で安全なパラメータ選択方法などの考察を行なった。また、これまでの内容を論文としてまとめ、国際会議Asiacrypt2021に論文が採択された。(ii) 日本大学の中村氏らとともに多変数多項式暗号の安全性解析に現れるbilinear多項式のsemi-regularity性を理論的に考察し、論文としてまとめた。また、MinRank問題は多変数多項式暗号の安全性根拠になる問題であり、MQ問題とも関係し、グレブナー基底理論を使って求解される。このMinRank問題に対して、その求解方法であるKipnis-Shamir法に対するVerbelらの最新の解析がRainbow署名方式にどのように影響を与えるかについて考察した。(iii) 電気通信大学のSantoso氏、岡山理科大学の安田氏、日本大学の中村氏とともに、MinRank問題を利用したID方式の構成を行なった。我々が構成したID方式はcheating probabilityが1/2となり、Courtoisの既存方式よりもcheating probabilityが小さい方式となる。また、IP2S問題の一般化であるBIPC問題を利用した暗号方式の安全性解析に関する論文を執筆し、国際会議Inscrypt2021に採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年からの新型コロナウイルスのため、研究打ち合わせがオンラインとなってしまい、ある程度結果が固まった内容についてはオンラインで打ち合わせをし、2020年度のうちに発表することができ、2020年度は進捗も順調であった。しかし、2021年度からは対面で行う詳細な議論や意見交換の場がないため、研究構想にあるいくつかのアイデアを進展させることが難しかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は国内出張もある程度行える状況となってきたため、対面での打ち合わせを軸に以下の内容を遂行する。 (1) UOVの効率的な変種などが最近提案されているため、それらと上で我々が提案したQR-UOVとの比較検証を行う。 (2) 上記(iii)で構成したMinRank問題をベースとするID方式を効率的な署名方式に変換する方法の研究とその安全性評価を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスのため研究遂行に必要な出張が行えず、研究費の一部である旅費が使用できなかった。そのため、次年度で行うこととする。
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Research Products
(7 results)