2020 Fiscal Year Research-status Report
音声制御デバイスのためのセキュアな生体認証システムに関する研究
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19K20271
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
塩田 さやか 東京都立大学, システムデザイン研究科, 助教 (90705039)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 音声信号処理 / 生体認証 / なりすまし検出 / 話者照合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は声を使った生体認証技術をより安全に使える技術を考案することにある。近年、スマートスピーカーや音声対話システムなど声のみで操作可能な音声制御デバイスが普及してきている。これらの機器とユーザ間でやりとりされる内容には、天気予報やニュースなど一般的な情報だけでなく、メールや電話、スケジュールなど個人情報も取り扱うことがある。また,ものを購入する等の情報も取り扱われる。そのため、攻撃者が正しいユーザの声を録音してスピーカで再生することによって音声制御デバイスを勝手に操作する「なりすまし攻撃」が重大な問題になってきている。そこで本研究では、スピーカ再生にのみ必ず起こる現象に着目し、その現象を検出するようななりすまし検出の枠組みを研究し、目的を達成しようとしている。今年度は、前年度より進めていたステレオチャネルのマイクを用いたスピーカー再生時のみに起こる現象の検知手法によるなりすまし検出の提案とそれら成果を、英語論文としてまとめ採択されるに至った。さらに、本研究で掲げる課題であるセキュアな生体認証システムに関する課題の一貫として、音声プライバシーに関する研究にも着手した。音声プライバシーに関してはこれまでに研究分野として確立されていなかったため、新たに立ち上がったコンペティションの条件を基に信号処理と深層学習を組み合わせた軽量な音声加工法について提案を行った。音声プライバシーについての研究実績については国内学会及び国際学会での研究発表が挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では実際に人間が発話した音声とスピーカによって再生された再生音声の間の音響的な特徴の違いについて解析をし、独自収録したデータに対して複数チャンネルを用いた実験を行い手法に関する検討を行うとしていた。実際には複数チャンネルを用いた手法の有効性を確認でき、中規模程度の新しい独自データを用いた研究を行い、英語の国際論文としてまとめることを完了した。これは当初の予定に従っており順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに発表してきた手法はモデル化が難しく、実験においては機械学習手法を使った手法を行って来なかった。しかし、マルチチャンネルマイクを用いる有効性については十分確認が出来たので、今後は深層学習を用いたモデル化を行い、より汎化性能の高い手法を提案することを検討する。さらに、データベースの規模の拡張や、セキュアな話者照合のための基盤技術として音声プライバシーなどの分野開拓についても検討することを予定している。
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