2020 Fiscal Year Research-status Report
FPGAを用いた超高速ハードウェアソーティングアルゴリズムの開発
Project/Area Number |
19K20276
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小林 諒平 筑波大学, 計算科学研究センター, 助教 (40783709)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | FPGA / ソーティング |
Outline of Annual Research Achievements |
FPGA のオンチップメモリベースで実現される仮想的なマージソートツリーを既存研究の高スループットマージソートツリーの部分木に適用した新しいアーキテクチャを提案し,それをソーティングネットワークと組み合わせたソーティングエンジンの開発に成功した.また,このハードウェアソーティングエンジンを OpenCL 環境で呼び出せるようにライブラリ化し, そのソートライブラリの性能を OpenCL ベースの実装用に再構築されたマージソートアルゴリズムと比較した結果、ソート性能が3桁向上していることが確認された.これにより,アプリケーション開発者が低レイヤな部分を意識することなく,高位言語の抽象度にとどまりながら、開発したソーティングエンジンの性能をハードウェアレベルで最大限引き出せていることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究を開始した年である2019年中には提案手法のコンセプトの実装が完了したため,FPGAにマップする際の最適化を終えれば,本研究の実装作業は完了であった.しかし,FPGAにマップする際の最適化で,本提案手法の鍵となる仮想マージソートツリーの動作周波数の目標値達成が極めて困難であることが判明したため,仮想マージソートツリーのアーキテクチャの見直しおよび再実装を余儀なくされた.そして,2020年はコロナ禍の影響やそれに関する所属組織における対応に追われたことによって,研究開始に予定していたエフォートを確保することが非常に困難となり,それらの作業が中断せざるを得なかった.この2つが本研究課題の進捗が遅れるに至った主な原因である. しかし現在では,コロナ禍における研究活動の進め方に関する知見が蓄積されたので,エフォート確保についての問題は解決しつつある.また,仮想マージソートツリーのアーキテクチャの見直しおよび再実装も完了したため,ソートネットワーク、高帯域幅マージソーターツリー、仮想マージソーターツリーの3つのハードウェアソートアルゴリズムを組み合わせて構築されるソーティングエンジンが目標とする動作周波数で正常に動作することを確認した.その結果,国際会議にフルペーパー論文が採録されるに至り,現在その最終稿および発表資料を準備中である.
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Strategy for Future Research Activity |
不測の事態により,当初の計画からは大きく遅れが生じてしまっているが,研究成果は創出され始めている.その1つが国際会議のフルペーパー論文として採録であり,それと並行して,グラフ処理アプリケーションに本提案手法を適用することによって得られる性能向上についての論文も執筆中である.すなわち,実装フェーズはほぼ終了し,評価およびその成果をまとめた論文の執筆が現在の主な作業である.研究計画調書に記載したとおり,本研究で得られた成果は論文だけでなく,Webサイトや技術ブログも活用し,積極的に普及していく.
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Causes of Carryover |
昨今のコロナ禍の影響により,学会の物理開催はいまや全てリモートに置き換わりつつある.そのため,研究計画時に予定していた旅費がそのまま残額となってしまっている状況である.現在は,研究成果が創出され始めているため,この残予算は論文の英文校正料や掲載料に充てる予定である.
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