2020 Fiscal Year Research-status Report
健康ソーシャルデータの高信頼化とナビゲーションに関する研究
Project/Area Number |
19K20279
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
若宮 翔子 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (60727220)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ソーシャル・コンピューティング / ソーシャルメディア / 健康ビッグデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,ソーシャルメディアデータ解析による信頼性の高い健康ビッグデータ抽出から,疾患やユーザを考慮したデータ可視化や行動指針を提示するナビゲーションまでを実現し,最終的には,健康分野への応用に向けたソーシャル・コンピューティング基盤を構築することを目的としている.令和2年度は,ソーシャルメディアのデータの信頼性という問題に対して,昨年度に引き続き,以下の2つの研究項目に取り組んだ.それぞれの内容を以下にまとめる. 研究項目1「欠損データを補完する複数メディア統合とソーシャルレポート」では,自主的な利用ログであるソーシャルメディアデータには,欠損が生じることが多いため,スモールデータでも信頼性の高いデータを収集することを目的としている.そのため,ソーシャルレポートのアプリケーションを開発して一般公開し,運用を継続している. 研究項目2「信頼できるソーシャルセンサとコンテンツの抽出」では,Twitterに投稿されているツイートを主な対象とした,信頼性の高いコンテンツの抽出を目的として,デマ・フェイクニュースや暴言の検出モデルの研究開発などについて取り組み,研究成果はPLOS ONE などの英文論文誌に採録された. さらに,これらの研究項目に加え,世界中でパンデミックとなっている新型コロナウイルスを対象にしたケーススタディにも取り組んだ.ソーシャルメディアデータやウェブ検索クエリデータを用いた分析を実施し,コロナ禍における人々の行動や反応などを調査した.ウェブ検索クエリデータに基づくクラスタ検出の可能性を検証した論文は,英文論文紙のScientific Reports に採録された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は,ソーシャルメディアのデータの信頼性という問題に対し,スモールデータであるが,高い信頼性のあるデータを収集するためのアプリケーションを公開・運用を継続している.さらに,Twitterに投稿されているツイートを主な対象として,信頼できるコンテンツの抽出について継続して取り組んでいる.具体的には,ツイートの内容がフェイクニュースであるかを判定する手法や暴言を含むかを判定する手法の開発を行った.また,COVID-19に関するソーシャルメディアデータの収集や分析を実施した.これらの研究成果は,PLOS ONE などの英文論文誌に採録された.このように,COVID-19の影響もあったが,一定の進捗と成果を挙げており,当初の計画以上に研究を進展することができたと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として,ソーシャルメディアデータの信頼性という問題に対する研究項目を継続して実施する.さらに,健康ビッグデータのケーススタディとして,COVID-19に関するソーシャルメディアデータの収集や分析を継続して実施する.また,ビッグデータ解析で得られる情報を活用する方法としての可視化や情報のナビゲーションシステムの構築も目指す. さらに,最終年度である令和3年度は,パンデミック後のソーシャルメディアマイニングに関する国際ワークショップ (ICDM 2021 Workshop on Social Data Mining in the Post-pandemic Era (SDM 2021)) をオーガナイズし,国内外の研究者との研究交流を活発に行うことも予定している.
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Causes of Carryover |
(理由)COVID-19の影響により,年度中に支出予定であった物品費や旅費が大幅に変更となったため,次年度使用額が生じることとなった. (使用計画)本年度に使用予定であった内容は次年度の使用予定額と合わせて使用する.具体的には,物品費,人件費・謝金,英文校正費や論文掲載費に使用する計画である.
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