2021 Fiscal Year Research-status Report
音楽メロディのベクトル表現の実現とその有効性の検証
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19K20301
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
平井 辰典 駒澤大学, グローバル・メディア・スタディーズ学部, 講師 (70780542)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 音楽情報処理 / 分散表現 / メロディ検索 / 音楽生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,計算機により音楽メロディを扱うための手法として,分散表現の獲得を目指している.2019年度~2020年度の第1研究フェーズにてメロディのベクトル化を実現しているが,2021年度以降の第2研究フェーズでは,そのメロディベクトルの評価や,構築したモデルを活用したメロディ生成などのアプリケーション寄りの研究を計画していた. 当初,メロディのベクトル化の有効性に関する評価は主観評価等の人による評価を検討していたが,より客観的かつ再現性の高い評価方法として,メロディの素片同士が接続していたかどうかをLSTMによって数値化して評価する手法を2021年6月に新たに提案した. 2021年度には,さらにアプリケーションに関する研究を進め,新たに提案したメロディ同士の接続コストを使ってメロディの打ち込みを支援する創作支援技術を提案した.これによって,当初の研究計画にあったメロディのモデル化から,評価,アプリケーションの実現までの一連の内容をすべて完了したことになる.今後はさらなる音楽の創作支援技術に関する手法を模索していく予定である. 2021年度には,さらに研究を進めて研究対象のメロディの拡張も試みた.これまで12平均律による西洋音楽のメロディのみを対象としていたが,12平均律に属さないメロディも扱えるような技術の開発に着手した.現状では,微分音のメロディについては入力のためのインタフェースに関する実装成果のみであるが,今後は微分音のメロディも対象としたモデル化の技術にも着手し,既存の音律の枠にも縛られずに統合的にメロディを扱う技術の確立を目指していく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初,4年間の研究期間で実施する予定であった研究計画は2021年度までで概ね完了した.2022年度にはその成果に関する発表を行うことがメインとなり,国際会議での発表などを控えている.また,成果の発表が遅れていた部分もあったが,2021年度には定期的な成果発表を行うこともできた. 2022年度には,さらに,当初の研究計画で述べられていた内容を超えるような要素にも着手する予定であり,現時点ですでに「微分音のメロディ」という当初の想定を超える対象にまで手法の適用を行いつつある.以上を踏まえると,今年度末の研究期間終了時には,当初の研究計画で想定していた成果を大きく上回るような成果が出せる見込みである.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は研究機関の最終年度であるため,これまでの研究成果を基に,新たな応用に繋がるような研究を行っていく.具体的には,すでに着手済みの微分音のメロディに関する研究を推し進めるとともに,メロディのベクトルを利用した新たなアプリケーションの実現についても検討していく.現状では,アプリケーションとしてメロディの創作支援技術を提案しているが,その他にも新たな研究に繋がるようなアプリケーションについても検討していくつもりである. また,最終年度ということもあるため,これまでの研究成果を積極的に発表していく予定である.研究の発表までは少なからず時間差が生じてしまうため,なるべく2022年度の前半までには最終的な研究成果を出してしまい,2022年度の後半にその成果の発表ができるように研究を行っていく.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの流行により,当初予定していた国内外への研究出張がすべてなくなり,旅費の支出がなくなってしまったため. 国内外の状況が改善次第,当初予定していた国内外への学会参加を行う予定である.当初は,年に1回ないしは2回の国際学会参加を計画していたが,これまでに参加ができなかった分の費用については2022年度の学会参加費用にまわす予定である.
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